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最後です。

圭人が居なくなっても、その場から動く事ができなかった。頭の中はぐちゃぐちゃで、涙は止まっても拭うこともできずにいて。 「優羽!!」 山根の声に、壊れた玩具のようにゆっくりと振り向いた。 「お前ッ!授業サボるんなら連絡くら...」 眉毛を釣り上げて怒っていた山根は俺の顔を見て動きを止めた。 「.......」 「...ごめ、ん」 ようやく口から出た言葉はびっくりするくらい擦れていて、聞き取れているのかも分からないほどだ。 ため息ついて、山根は自販機で水を買うと俺に差し出してくれる。 「ん。目、冷やしとけ」 受け取るととても冷たくて、泣いて熱くなっている目元にあてた。冷たくて気持ちが良い。 「...もぅ、終わった」 「ふーん」 どれくらい冷やしていただろうか。 貰ったペットボトルは水滴がたくさんつき始めていて、目元を冷やす効果は無くなっている。 ようやく告げたセリフも、山根は興味無さそうに聞いてくれた。多くを語らなくても理解してくれる山根の存在はありがたい。 「ま、よく頑張ったな」 わしゃわしゃと山根の大きな手が頭を撫でてくれてその優しさにまた泣けてきた。 もぅ、泣くのは今日で最後。 そぅ決めてぬるくなったペットボトルで涙が止まらない目元を隠しながら泣いた。

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