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田中は運動音痴です。

体育祭りの練習も順調だ。 と言っても、俺の出る玉入れなんて2回くらいで飽きてしまう。 「そこーー!もっと走らんかー!!」 飽きた玉入れチームの俺達は、リレーの練習に明け暮れるクラスメイトを叱咤激励する田中を見ていた。夢中な田中は髪を振り乱し、メガホンで大声出す。リレー選手達は笑いながら手を振っていた。 「呑気かーーー!!!」 1人でプンスカ怒っている田中に、玉入れチームも笑ってしまう。 「田中。暑いでしょ?ちょっとは休憩しようよ」 女子の誘いに田中は首を横に振る。 「暑いのは皆同じだろ?あいつら頑張ってんのに休んでられない」 キラリとメガネが光る。 田中の男前発言におぉ~と声が上がった。 「...よし!俺も応援する!」 立ち上がり、田中のそばに立ち、ちょうど走り始めた山根に声援を送る。 「やーまーねーー!」 めったに出さない大声に声が震えていたけど、山根は俺の声援に驚いた顔して、そして笑顔で応えてくれた。 大声出すって気持ちいいな。 あれから圭人とは全く連絡を取っていない。終わったんだと、連絡先も消した。モヤっとする気持ちはあるけど、前に進まなければいけない。 凛も、必要以上に何も聞いてこなかった。 「頑張れ~!!」 いつの間にか玉入れチーム全員で応援していて、皆好き勝手に大声を出していた。 「あーつーいー。優羽、飲み物買いに付き合って~」 走り終えた凛がヘトヘトな様子で近づいてくる。 「いいよ。行こ」 連日、暑い中練習しているので皆ヘトヘトだ。特にリレーは華やかだけど、その分練習量も多いしキツイ。 山根の分も頼まれて、俺と凛は自販機目指す。 「玉入れ、どぉ?」 「どぉ?ってほど練習してないからなぁ。あとは、当日のやる気くらいかな」 「田中、全然入らないよね。人一番頑張ってるのに」 「そうなんだよね。不思議だよね。わざとかと思ったもん」 「あはは。それはそれで面白いよね」 「うん。面白い。田中だと特に」 自販機でスポーツドリンクとお茶を買って、みんなの所に戻る。

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