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期待に応えて。
「久しぶりだね、矢作と凛ちゃん」
まだ言い合っている虹太兄ちゃんの隣で須田さんがこっちに声をかけてくれる。彫りの深い整った顔は女子人気がすごく、ファンクラブまであるらしい。
「なんか、ごめんね、須田さん。いつも、お兄ちゃんのお守り大変でしょ?」
凛は申し訳なさそうに眉毛を下げた。
「ふふ。今更だよ。虹太、シスコンだけどそれ以外は普通だし。まぁ、病的なシスコンだけど。凛ちゃん可愛いから心配する虹太の気持ちも分かるしね」
シスコンって2回言った。
「ってか、虹太と凛ちゃん同じ顔なんだけどね!!ぶぶっ...ぶぁっ!」
堪え切れず吹き出した須田さんに、虹太兄ちゃんの裏拳が飛ぶ。顔面ヒット。男前の顔が痛みに歪んだ...けど、男前。
「...何か言った?蒼」
「...なんも言ってません」
鼻を押さえながら、須田さんは首を振った。
相変わらず怖いな虹太兄ちゃん。やりあえる山根のメンタル強い。でも、お互いに凛が大切なのは変わらないからどこか安定したやりとりなんだけど。
「優羽は種目 何に出んの?」
「玉入れ」
「おぉー。相変わらずだな」
そう言って笑う虹太兄ちゃんの笑顔は、大好きな凛と同じ笑顔で安心する。
「俺!リレー出ます!!」
「うるせぇ。黙れ」
俺の隣で叫ぶ山根に、虹太兄ちゃんは軽くあしらう。
「俺、MVP取っから!!」
「いや!俺!!」
「えー?じゃあ、俺も狙おうかな」
「あは。じゃあ、あたしも~」
チラッと凛が期待を込めたキラキラお目目でこっちを見る。凛だけじゃなくて、山根も。上からも視線を感じる。
ここはやっぱり、アレ、ですよね...?
「お、俺も!!」
「「「「どうぞどうぞ」」」」
...ですよね~。
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