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意外な発見です。
音楽室に着くと、既に松木君は居た。
今日はピアノは弾いていない。
「ごめん、待った?」
ドアを開け、息を弾ませる俺に松木君は優しくふにゃっと笑った。
「俺も今、来たとこです」
自分のお弁当箱を持ち上げて、食べましょうと笑う。
松木君はよく笑う。太陽のように明るく笑う。俺もいつもその笑顔につられて笑ってしまう。
「俺、今日唐揚げなんすよ」
「あ、いいな。俺、なんだろ?」
他愛もない会話が心地いいと、正直に思う。一つ年下の彼に...惹かれていくのも自然な感じで、止めようがなかった。そのくらい、彼の隣は居心地が良い。
「先輩、あーん」
「うぇっ?」
自分の弁当が生姜焼きだった事に満足していると、目の前を美味しそうな唐揚げがふわふわ浮いていた。
松木君の綺麗な手と唐揚げ。なんともシュールな。
「先輩、あーん」
松木君は同じセリフを口にすると唐揚げを俺の口元に近づける。
「...」
期待を込められたキラキラした瞳が俺を見ている。キラキラ...キラキラ犬のような瞳で。
「...っ!」
恥ずかしくて、でも、その瞳で見られたら断ることなんてできない!!覚悟を決めて、目を閉じて唐揚げにかぶりついた。
冷静に考えれば、ただ唐揚げを貰っただけなんだから、こんなに意気込まなくても良かったんだ。自意識過剰もいいところだ。
口中に広がる肉汁を味わいながら今更なことを考えた。
「...美味しい」
「自信作なんです」
松木君のセリフに目を開けると、とても嬉しそうに笑う松木君。
「え?松木君が作ったの?」
「料理好きなんですよ~」
ふにゃっと笑う松木君。
...なんて事だ。顔も性格も良くて背も高くてピアノも弾けて料理までできるなんて。完璧な人間が目の前にいた!
「...ズルイ」
「え?なんで?」
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