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ご兄妹は?
「違う奴が出る予定だったんだけど、そいつ部活で骨折しちゃって。急遽俺が出ることになったんです」
「へー。楽しみだな。どうせなら、変なの当たればいいのに」
「わ。先輩、笑顔で怖いこと言いますね」
「だって、見たいじゃん。松木君の困ってるところ」
完璧人間の松木君はいつも笑顔だから、たまには違う顔も見てみたいと思うんだ。
「...先輩、可愛い顔してドSですね」
「...可愛くはないけど...そう?」
松木君は眉毛を下げて困ったように笑うと、また唐揚げをくれた。
やっぱり美味しい。
「楽しみです、体育祭り。うちの学校、イベント力入れてますよね。」
「うん。楽しまなきゃ損な雰囲気あるもんね。実際、楽しいんだけど。」
「そいや、山根先輩はMVP狙ってるんですね」
「うん。凛にプリンあげたいんだって。」
「お、いいですね。プリン美味しいですもんね」
「凛の好物なんだ。凛のお兄ちゃんもMVP狙ってるんだって。兄ちゃんにもプリンねだってた」
「お兄ちゃんいるんですね」
「うん。3年に。凛と同じ顔してる」
「...可愛らしいですね」
「うん。すごく可愛いんだけど、それ本人に言ったらダメだから、もし会っても心の中に秘めといて」
「...分かりました」
神妙な顔して頷く松木君が面白くて、笑ってしまった。
「凛ね、お兄ちゃんが4人いるの。松木君は?」
「多いですね。俺のとこは5つ上の兄と6つ上の姉がいます。」
「うちは3つ上の兄ちゃんがいるよ。松木君とこは年離れてるんだね」
「はい。離れてるので甘やかされて育ちました」
ふんわりと笑う松木君。家族に愛されて育ったんだなって分かる笑顔だ。
きっと、松木君の家はみんな同じように笑うんだろう。そう思うと心がホカホカした。
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