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嬉しい恋。
「優羽の楽しそうな顔、久しぶりに見た。...いつも辛そうだったから、嬉しいんだよ。優羽、笑ってる方がいいもん」
にっこりと笑う凛の笑顔はとても優しくて。その優しさに泣けてきそうになる。
「あたし、松木君なら全然アリだよ!謙ちゃんよりは劣るけどカッコいいし!優羽の事、安心して任せられる!」
励まされているのか、ノロケられているのか分からない凛のセリフに思わず笑ってしまう。
山根と凛は、俺の憧れだ。2人とも真っ直ぐにお互いしか見ていない。まだ、高校生なのに。未来はあやふやで、分からない事だらけなのに。これから先もずっと2人は離れないと誓いあっている。そして、それは2人ならきっとそうなるだろうと確信している自分がいる。
「山根、カッコいいもんね」
凛は澄んだ綺麗な瞳で笑う。その瞳にはこの場に居ない山根の姿があった。
「そうよ!そして、謙ちゃんったら優羽には特別優しい。妬けちゃう!!...でも、あたしにも優羽は特別だから、許してあげる」
いたずらっ子みたいに笑うと、凛は握っていた俺の手を繋ぎ直した。
「山根に見られたら怒られる」
「ふふ。大丈夫大丈夫。優羽は特別だもん。あ、でも、松木君に悪いから学校ではやめるわ」
「な、なんで松木君の名前が出るのさ」
「えー?今更、しらばっくれるとか意味ないわよ」
凛は楽しそうに、繋いだ手をぶんぶんと振った。子供みたいに。
凛の手は俺より少し小さくて、華奢で。でも、とても暖かくて。少しの力で握り返した。
「ぶっちゃけると、優羽って松木君と居ると顔がニヤニヤしてるよ」
「えっ!?本当?」
「うん。松木君が好きって顔に書いてある」
「う、嘘だっ!?」
バッと繋いでない方の手で顔を触って...何がわかるわけでもないのに。確認してしまう。
「優羽、かーわいー」
そこで、初めて凛にからかわれたんだと分かって、さらに顔が熱くなる。
「な、何言ってんだか」
ほっとしたような、変な心地で。凛の意地悪が優しくて、俺は笑った。
大切な凛に喜んで貰える恋が嬉しかった。
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