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お見通しです。

雰囲気が和らいだので、急いでご飯を食べた。美味しい生姜焼きも味が余りしない。顔も熱いし、にこやかな松木君の視線も気になって仕方ない。 他愛もない話をして、お弁当タイムは終わった。 「じゃあ、先輩。また、お昼誘ってもいいですか?」 「う、うん。もちろん!」 にこやかに手を振って松木君は教室に戻って行った。 「...はぁぁぁぁぁぁ~」 その背中が見えなくなってから、俺は力が抜けたように体中の息をはいて蹲った。 「優羽?何やってんの?」 「...凛」 ぐったり脱力した俺は顔だけ上げて姿を確認した。凛が不思議そうにこっちを見ている。 「松木君、料理上手だ。唐揚げ、美味かった...」 「え?まじ?ちょ、どんだけいい男なの?逃がしちゃダメだよ?優羽!」 ぐったりしてる俺の手を握り、凛が瞳をギラつかせている。 「...は、はぁ?な、何言って...っ!」 「顔良し!性格良し!背高い!優しいし、頭も良いらしいし、その上料理上手なんてそんな嘘みたいな男いないわよ?謙ちゃんは別として!!」 余りの迫力につっ込みどころが分からない。 山根は特定の人物以外には冷たい所あるし、料理しないじゃん...って、今はそれどころじゃない。 なんで、なんで...俺の気持ちが... 「り、凛...?何、言って...」 驚きすぎた自分の口から出る言葉は言葉になってなくて、上手く誤魔化すこともできない。 「生まれた時から一緒にいるのよ?分からないと思った?」 ギラギラした瞳がいつもの瞳に戻って、凛は困ったように笑った。
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