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触れそうな距離で。

低い声色が耳元に響く。 「...ぇ?」 泣いて、た? 俺、松木君の前で泣いた事なんて無いのにどうしてそういう事を言うの...? 「...俺、先輩の事を」 スッと松木君が俺から少し、距離をとる。 離れたので松木君の顔がよく見えて...。 「...っ!」 頬を赤らめ、潤んだ瞳はとても綺麗で同じ男とは思えないほどの色気を感じた。 いつもはでかいワンコみたいなのに...こんな、表情するなんて。 ゾクッ。 今まで感じたことのない、感情が湧き上がってくる。 目が、離せない。 「...先輩」 松木君の手が頬に触れ、長い指が俺の目尻をさっと撫でる。 「顔、赤いね。...可愛い」 「...へ?」 ゆっくりと松木君の顔が近づいてくる。 近づいてくる顔を見て、俺もそっと目を閉じる。 触れたい。その唇に。 バタンッ!!!! 「優羽!大丈夫か?...あれ?」 大きな音がしたと思ったら、慌ただしく駆け込んできた山根の声がした。 あと、もぅちょっとで触れる距離にいた俺と松木君は動きが止まる。 「謙ちゃん?優羽居た?...あら。あらあらまぁまぁ!!!」 その後すぐに凛も駆け込んでくる。 松木君と俺は同じような動きで入口で立ちすくむ山根と凛を見て、山根と凛は今すぐにでもキスしそうな俺と松木君を見ていた。

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