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キレイな青空。

暫くお互いに見つめ合っていたけど、先に動いたのは松木君だった。 「わ、わぁッ!す、すみませ、」 慌てて抱きしめていた手を解かれて、温もりも離れていく。分かりやすい程に動揺している松木君を見て、山根と凛がニヤニヤ笑っていた。 「なぁんだ。尾関が優羽が泣いてるって言うから必死こいて探してたけど余計なお世話だったみたいだな」 「え?」 「ほんと!余計なお世話どころか、お邪魔しちゃったじゃん!」 ...圭人。 最後に見た顔を思い出す。 困ったような笑顔。 ...言いかけて消えてしまった言葉。 合わなかった俺と圭人の歯車。 目を閉じて、彼の姿を思い浮かべる。 はにかんだ笑顔。 優しい笑顔。 意地悪な笑顔。 思い出すのは、笑顔の圭人ばかり。 いなくなった扉を見るけど、勿論そこには圭人の姿はない。 「い、いやいや!お邪魔だなんて!!」 慌てる松木君は、さっきまでの妖艶さはナリを潜めていつものわんこの松木君だ。 「あはは。そんなに慌てないでよ松木君。大丈夫よ、優羽泣かせていなければ、あたしも謙ちゃんも何もしないよ」 「...肝に銘じます」 笑顔で怖いことを言う凛に、松木君は意を決したように神妙に頷いた。 そんな2人のやり取りを見ていた。 「まぁ、尾関もこれで良かったんじゃねーの?」 いつの間にか隣にいた山根がボソッと呟く。 山根は笑い、頭をガシガシ掻いた。 合わない歯車は、どうしようもないんだ。 タイミングではなくて、頑張っても、無理に合わせようとしていてもいつか壊れてしまうんだ。 空を見上げると、やっぱりキレイな青空だった。

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