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じわじわ実感中です。
「顔が蕩けてる」
「うんうん。わかり易くて可愛い」
教室に戻った俺を待っていたのは、ニヤニヤ笑いの山根と凛だった。
恥ずかしくて顔を見れないから俯いてしまうけど、
「...ありがとう」
そう小さな声でつぶやくと
「...っつ!!可愛い!!」
凛が抱きついてきた。
後ろでは山根が呆れたように笑っている。
「それで?それで?」
「あ、...うん、その、付き、合う事に、なりました」
『付き合う』それを口にすると今更ながらに実感が湧いてきて顔が熱くなった。
「...良かったね」
涙声の凛に釣られて目が熱くなる。
「...うん。ありがとう、凛」
いつもいつも心配してくれた優しい幼馴染み。抱き合っている俺たちに、クラスメイトはいつもの事と気にもしない。
「めでてーけど、あと10秒で離れろ」
そう言う山根だけど、優しい顔で笑っていた。授業の始まりを告げる鐘がなりぎゅうぎゅうに抱きついてくる凛を離して、席に着く。
「何か良い事あったの?」
近くの席の女子が、凛とのやり取りを見て尋ねてきたので曖昧に笑って答えた。
始まった授業。男性教師の眠気を誘うのんびりとした声。チョークを走らせる音。静かな教室。
松木君と付き合う。
凛と山根に祝福された。
松木君と付き合う。
...松木君と、付き合う。
嬉しい。
にやける顔をどうにも出来なくて、机に突っ伏した。
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