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優しいお仕置き。
「え?千聖と?」
放課後。待ち合わせの音楽室で太田君の話をすると松木君はすごく驚いていた。
「うん。俺に興味あるんだって」
太田君の笑顔を思い出して笑うと、目の前の松木君の頬がぷっくり膨れる。ハムスターみたいに。
「...あいつ、俺に何も言ってなかった」
初めて見る松木君の姿に俺は少し感動してしまった。...めっちゃ可愛い。
「...って、何 ニヤニヤしてんの?」
頬を膨らませたままの松木君が恨めしそうにこっちを見る。俺は慌てて手で顔を覆うけどニヤニヤは止められない。
「や、何でもないです」
「うそー!!ニヤけてる!!」
ますます膨らんでいく頬に俺は堪えきれなくて笑ってしった。
「あ!やっぱり笑ってる!」
「あはは。ごめんごめん」
「...お仕置き」
ふ、と顔を上げると意地悪な瞳をした松木君の顔が近づいてきていて...カプっと下唇を軽く噛まれた。
「...んっ!」
びっくりして思わず松木君の胸を押してしまうと、その手を優しく握りしめられた。
「...やっぱりお仕置き無し」
ぎゅっと手を握りしめられ、さっき噛んだ下唇をぺろりと舐められた。そして、優しく唇を合わせる。
何度か軽く唇を触れ合わせて、松木君は離れた。
「...やばい。先輩へのお仕置きじゃなくて、俺のご褒美になってました」
もう1回、とキスをした。
それでも何回もキスして離れると抱きしめられる。
「へへ。...あ!!」
へにゃっと笑っていた松木君が何かを思い出したように声をあげた。
「どうしたの?」
松木君の大きな体に埋もれながら顔を上げて見上げる。
「俺、明日から放課後、本番まで応援団の練習なんです。全体練習」
「そうなんだ!もぅ2週間後だもんね」
「...一緒に帰れない」
ぎゅーっと抱きしめられた。
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