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安堵する。

今まで、こういう手紙を貰ったことはない。 瞬時に自分の性癖の事を指しているのかと思った。...バレている?どうして? 黒いモヤモヤとしたものに飲み込まれそうだ。今まで感じたことの無いほどの不安。 「...矢作先輩?」 不意に声をかけられ、肩が跳ねた。 「...太田君」 顔を見て安堵する。 心配そうに眉毛を下げてこちらを見ているのは太田君だった。 「おはようございます。どうしたんですか?固まって」 「あ、ううん。なんでもないよ。太田君こそどうしたの?1年の靴箱向こうでしょ?」 不自然にならないように、手紙をズボンのポケットに仕舞った。 「先輩の姿見えたんで挨拶したいなって思って。先輩いるって事は、太一郎ももう来てるんすよね?」 「うん。さっきまで一緒だったよ」 「そっか。あいつ、今日から応援団の練習で先輩と帰れないって泣いてたから離れなかったでしょ?」 笑う太田君に、さっきまで不安でうるさいくらいだった鼓動が落ち着いていく。肩の力が抜けていくのが分かる。 うん。良かった。 「松木君って大きいワンコみたいだから訴えてくる想いがすごいんだよね」 「あはは。ワンコ!!確かに、あいつすぐ顔に出るしワンコだ」 爆笑する太田君と暫く話していると、山根と凛に声をかけられた。 「おはよー、優羽...と、誰?」 「あ、おはよ。凛。山根。あ、松木君のお友達の太田君だよ」 「おはようございます。太田千聖です」 「へぇ。お友達とも仲良くなったの?しかし、お友達もイケメンだね」 太田君のイケメンスマイルにはしゃぐ凛、隣では山根が忌々しそうに舌打ちする。朝から爽やかではない。 「いやいや!山根先輩のイケメンぶりには敵いませんよ!!1年の間でも山根先輩と浜口先輩カップルはすげー人気ありますもん」 「...お前、いいヤツだな」 単純な山根は嬉しそうに笑った。

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