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彼に会いたいです。

行こうと促されるけど、2人に少し待っててと告げ、まだ泣きそうな顔してこっちを見ている太田君に近づいた。 「優羽?」 「ごめんね、虹太兄ちゃん。すぐ終わるから」 少し離れた彼の元へ足を向ける。いつもよりも、離れた距離で止まると彼との心の距離のようで寂しく感じた。 「...先輩」 いつも明るい笑顔の太田君の見たことない悲しい表情。俯いてしまいそうな自分を叱責して声をかける。 「...話がしたい。今は、ごめん。冷静じゃないからうまく話ができないと思う」 出たのは小さな声だけど。 「...」 「今日の放課後、時間ある?」 「...っはい!」 大きく何度も頷く太田君。 「...ん、ありがとう。また、後で場所とか連絡するね」 「はい」 なぜだか寂しい気持ちになってすぐに太田君から虹太兄ちゃん達に目を向けて、その場を後にした。 「...いいのか?」 心配そうな虹太兄ちゃんに、頷く。 「まぁ、優羽がいいならいいけどさ。何かあったら教えろよ?優羽は俺の弟も同然なんだからな!俺がぶっ飛ばしてやる!!」 ガキ大将みたいな虹太兄ちゃんのセリフに思わず笑ってしまった。そして、その優しさに胸が暖かくなった。 うん。まだ、頭の中は整理できてなくてぐちゃぐちゃだけどさっきよりは落ち着いてきた。寂しい。でも、このままではいられないから。 無性に松木君に会いたい。 彼の「仔犬のワルツ」が聴きたい。

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