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お昼休みの音楽室です。

「どうしたんですか?」 松木君の大きな手が俺の手に触れる。 優しい温かさに、強ばっていたのか力が抜けるのが分かった。 お昼休みの音楽室。 早めに弁当を食べ終わって松木君にピアノをお願いした。 リクエストに応えて楽しそうにピアノを弾く後ろ姿に胸がほっこりして、たまらない気持ちになってその大きな背中に抱きついた。 そして、松木君は振り向いて手を握りしめてくれた。 「…んん。なんでもなーい」 温もりが暖かくて、嬉しくて。 松木君は癒しの効果がある。俺のこの胸のモヤモヤも松木君に触れていると浄化していきそうだ。神様かな。 さらに、ぎゅうぎゅうっと抱きつく。 「...可愛いっ!!」 「わぁっ、」 手を引かれると ひょいっと軽々と抱き抱えられ、そのまま松木君の膝の上に後ろ向きで座らされていた。 「ま、松木君?」 「んー!可愛いなぁ」 ぐりぐりと肩口に額を押し付け、興奮を隠していない松木君。 「は、恥ずかしいよ」 さすがに、恥ずかしい。後ろ向きなのがせめてもの救いだけど。でも、やっぱり恥ずかしい。お腹に回された大きな腕をぺしぺし軽く叩く。 「だって、可愛いから仕方ないですよ」 「だ、だから!それが恥ずかしいんだって!」 松木君は不満タラタラだけど、それでも手は緩めてくれない。 「...もー」 引き剥がすのは諦めて、柔らかい髪の毛に触れて、クシャクシャと撫でる。気持ちの良い感触。 「...だって。甘えてくる先輩可愛い」 「可愛くありません」 「もっと甘えて?」 不意に顔を上げて耳元で囁く。 いつもと違う少し低めの声。 「...んっ」 思わず、擽ったさに身を竦めてしまった。 腰からゾワゾワした寒気に似たようなモノが這い上がってくる。

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