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話し合いです。

松木君にパワーを貰った俺は、放課後太田君を人気の無い空き教室に誘った。内容が内容だけに人に聞かれたくないし。 大袈裟だけど、教室に入る前に深呼吸して気持ちを落ち着けた。ドキドキがちょっと収まっただけで、松木君の事を考えたらだいぶ落ち着いた。どんだけ好きなんだ、俺。 ドアに手をかけ、一気に引いた。 すでに太田君は待っていて、ゆっくりとした動作でこちらを振り返る。そこにはいつもの笑顔は無い。 「...先輩。」 「待たせたね」 「や、俺が早く来たから」 「...」 「...」 お互いに気まずくて、顔を見れなくて俯いてしまう。でも、ウジウジするために呼び出したわけじゃない。理由が知りたいんだ。 グッと握り拳で、意を決して顔を上げる。 「...理由が知りたいんだ」 「...」 「太田君は...どうして俺に声をかけてきたの?」 最初に声をかけてくれてあの日。 あの人懐こい笑顔が嘘だなんて思いたくない。それでも、手紙の内容は心を傷つけるには充分で。どっちが太田君の本心か分からない。...信じたいのに、信じきれない自分が寂しい。 「...俺、ビックリしたけど、松木君の友達に声掛けて貰えて嬉しかった。...大切な友達の恋人が同性って普通に引かれると思うし、その、...気持ち悪がる人もいるはずなのに太田君は笑顔で俺に接してくれて」 すごい、嬉しかったんだ。 あの頃の感情が思い出されて、思わず笑みを浮かべてしまう。 「だから...あの手紙は正直ショックだった。...やっぱり気持ち悪いもんね」 うまく笑えているだろうか。 「...でも、人を好きになるって異性だろうが同性だろうか関係ないと思うんだ。俺は同性しか対象にできないけど。好きな人ができて、その人も自分を好きになってくれるって、すごい事だと思うし素敵な事だと思う」 松木君の笑顔を思い出すとすごく幸せな気持ちになる。胸がポカポカしてくる。 だから。 「付き合ったのは松木君が初めてじゃない。だから男好きとか、い、淫乱って書かれようと俺は松木君が大好きだから、離れられない」 握りしめた拳に爪がくい込んで痕になっているのに気づいたのはその日の夜だった。 泣かないようにするので精一杯だった。

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