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可憐に微笑む彼女が。

「すみません!!謝って済む問題じゃないって分かってます。でも、先輩の事を傷つけたい訳じゃなくて!!」 切羽詰まった表情で太田君が詰め寄ってくる。 「...あんな所見られたら、何言っても言い訳にしか聞こえないのも分かってます」 苦しそうに眉間の皺を深くして、泣きそうに太田君は俺の目を真っ直ぐに見た。 「...でも、俺はー...」 ガラッ!! 太田君の言葉を遮るようにドアが開いた。反射的にそこに目を向けると... 「...え?」 ポニーテールの彼女がいた。 「どういうつもり?千聖!!」 声を荒らげ教室に入ってくる武藤萌乃ちゃんは一直線に太田君の所へ向かっていく。俺なんか眼中に無いように。 「萌乃?なんでここに?」 太田君も驚きを隠せないようだ。 「...どういうつもりよ?」 低い声を出し、太田君を睨みつける武藤萌乃ちゃんはその言葉使いとは真逆に泣きそうな顔をしていた。 「なんで、あたしの手紙隠したの?」 「え?」 「萌乃」 咎めるような太田君の口調に、それでも萌乃ちゃんは気にせず太田君の腕を掴んで詰め寄った。 「知ってるのよ、あたし!千聖が手紙を隠してるの!なんで?なんで応援してくれないの?あたし達幼馴染みじゃない!なんで、なんでこいつの味方してんのっ?」 負の感情むき出しで太田君の腕を掴んで揺さぶる萌乃ちゃんは、そのまま俺へと視線を移す。鋭い。鋭い視線。 「あんたのせいよ!!全部あんたが悪いんだから!!諦められない!小さい頃から太一郎のお嫁さんになるのが夢だったのよ!それを...それを...男のくせにっ!」 真っ黒い感情が直接ぶつかってくる。 萌乃ちゃんの想い。まるで刃だ。 身体が思うように動かなくて、俺はただ、彼女の想いを聞くことしかできない。 でも、気になる事はあって。 「...手紙って」 毎朝届いていた、あの手紙?でも、アレは太田君が...あれ?さっき萌乃ちゃん『隠してた』って言った? 「そうよ。あたしが出してたの。あはは。毎朝馬鹿みたいに顔色悪くしながら手紙見てるあんたを見ると気持ちがスっとしたわ」

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