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I fall in love:落としてみせる!

「いやぁ、事件解決おめでとうさん。呆気なかったね、被疑者が教頭なんて」  向かい側に座る上田先輩が、とても嬉しそうに声をかけてくれた。 「そうですね。早く解決して良かったです」  事件の書類を纏めるべく、デスクで整理をしながら、コーヒーを一口飲む。 「でもミズノンとしては、残念だったんじゃない? これから、好きなコに会えなくなるんだからさ」  その台詞に飲んでたコーヒーを、思いっきり吹き出しそうになる。慌てふためき、目を白黒させる俺の顔を見て、 「だって、この間のデカ長の発言を考えると、ミズノンの好きなコって高校生だろ?」 「そうなのか? 水野……」  上田先輩の隣にいる、土井さんまで話に加わってきた。しかも、憐れむような顔してるし。何か心中複雑―― 「一筋縄ではいかない未成年が相手なんて、顔に似合わず、お前ってすごいよな」 「あの、えっと……」  何だよ、顔に似合わずって。下手に弁解すると、ややこしくなりそうな感、満載じゃないか。 「面食いのミズノンのことだ、髪が長くて綺麗なお嬢様系のコなんだろ? 俺のプロファイリングから、推測したんだけどさ」  何故そこに、プロファイリング使うんだ? 確かに翼は整った顔立ちをしていて、適度に綺麗系だよ。しかもあのワガママぶりは、一人っ子のお坊ちゃまとみた。  あながち間違ってないトコが、何気にすごいぞ上田先輩。まるで仕事の出来る刑事みたい。 「でも未成年は、ちょっとヤバいっすよね。土井さん」 「水野、あと数年すれば20歳になる。バレないように、コッソリ頑張れ」  上田先輩の言葉をスルーして、何故だか土井さんは、親指立てて応援してくれた。 「ドジばかりやらかす、お前さんのことだ。連絡先交換なんて、やっていないだろう?」  またしても音もなく、俺の横を通り過ぎるデカ長。 「あ……!」 (しまった! そういえば、何も渡してないよ俺) 「向こうさん、マメじゃないと自分で言ってたからな。このまま何もしなかったら、それで終わりだろうなぁ」  その言葉を聞きながら、慌てて腕時計を見る。そろそろ下校の時間だ。 「デカ長すみません! 俺に20分だけでいいので、時間を下さいっ」 「帰ってきたら、倍の仕事をやってもらうからな」  そう言って俺の背中を、バシンと遠慮なく叩いた。よし、気合いが勝手にチャージされたぞ。 「喜んでやらせていただきます。行ってきます!」  心と体に気合いの入った俺は、急いで翼の通う学校へ猛ダッシュした。君へ会いたい気持ちに、囚われていたから――

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