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#3-3

途中四戦のババ抜きを挟み、通算七戦目の神経衰弱に決着がつく頃には、窓の外は夕陽で赤く染まっていた。 二戦目ですでに飽きていた友春と、さすがに疲れ、文字通り衰弱しかけた那緒と宗介。 円佳だけが最後まで元気だったが、遊び疲れたのだろう。七戦目の途中からうとうとと目をしばたかせ始め、終わった途端に宗介の膝の上でこっくりと寝入ってしまった。 「宗介……何で円佳ちゃんに神経衰弱教えたの……」 「教えてねえ。テレビか何かで見たんだろ、たぶん」 「もう一生やらなくていい、神経衰弱」 各々ぐったりと顔を伏せ、友春に至っては那緒のベッドに俯せになっている。 自分にぎゅっと抱きついた形で気を失った幼い妹の頭を撫でながら、宗介はしばらくぼんやり俯いていたが、やがて重苦しく口を開いた。 「バース性検診の」 その一言で空気が変わる。裏返したかのように、全く違うものになった。 宗介にとってその話題はタブーだ。それを自ら口にするなんて、何年ぶりのことだろうか。 ポーカーフェイスを保つ友春と対照的に、露骨な動揺を浮かべる那緒を、宗介は視線ひとつで黙り込ませた。 「結果が出たんだよ。円佳の」 小学校に入学する前に、ほとんどの子供はバース性が発現する。円佳も就学時健診を受けたのだろう。 那緒は唾を飲んだ。 バース性の判別に関しては、宗介が特別遅かったので失念していたが、満六才の円佳も、もうわかってもおかしくないのだ。 不安げに曇る那緒の表情を鑑みることなく、宗介の視線は静かに妹へと落とされていた。 円佳が握りしめたまま眠ってしまったその小さな手から、トランプのカードが数枚落ちる。 宗介とよく似た、黒くて真っ直ぐな髪が、差し込む夕陽を受けていっそう黒々と輝いている。 「オメガだった」

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