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#4-6

宗介が目を覚ますと、円佳はまだ隣で眠っていた。 ベッドの中は幼児の体温で少し暑い。 足をもぞもぞ突き出して、ベッドの下を伺う。 布団が敷きっぱなしで、那緒はいない。部活に行ったのだろう。枕元の時計は八時過ぎを指している。 あと五分経ったら円佳を起こそう、と決める。那緒の母が自分たちの分も朝食を用意してくれているはずだ。 円佳がいつも那緒ママのごはん、と言って喜ぶ。星型の野菜やタコ型のウインナーや、そういうもの全てに円佳は笑顔になる。 すやすや眠る妹の髪をそっと撫で、自分も目を閉じた。 死んでも口にはしないが、宗介は那緒の部屋が好きだった。 何もない壁と窓と、薄く漂うどこか甘いような匂いが気に入っていた。 何の匂いなのかは知らないが、およそ男子高校生の部屋らしくないことだけは確か。 あのマンションの自室より、ずっと落ち着く。よく眠れる。 那緒の母も、いつでも来ていいと言ってくれるから、甘え続けること早……何年だ。まあいいか。 でも、今日は帰らなくては。 あいつが帰ってくるから。 薄暗い気分を心の外側に追いやって、代わりに深く息を吸う。 那緒の部屋の匂いが肺を満たす。

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