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#5 オメガ:鬼塚宗介

宗介には同じ母親から生まれ、同じ家で育ったきょうだいが七人いる。 戸籍上の父と血が繋がっているのは三人だけだった。 つまり、一番最初に生まれた姉の藍良(あいら)と、二番目に生まれた宗介、三番目の光希(みつき)。 光希よりあとに生まれた五人は、全員それぞれ父親が違う。そう聞かされた。 両親はアルファとオメガの男性同士で、どちらも経営者の息子。政略結婚のようなものだった。 父の圭介(けいすけ)は眉目秀麗、頭脳明晰、いかにもアルファらしい素養を備えた人物だった。 父親の経営する企業に勤めていたが、結婚後、晴れて社長に就任した。 母の(きょう)も優秀ではあったが、次男かつオメガ性であったことから、親の後継ではなく嫁ぐ道を選んだ。宗介の涼やかな貌は母譲りで、特に目元がよく似ていた。 圭介の秘書として、結婚以来ほとんど常に行動を共にしている。 入籍後すぐに恭は第一子を妊娠し、難産ではあったが長女の藍良が無事誕生。 一年後に宗介を妊娠するまでは、夫婦の関係は順調だったといえる。 さて、一般的には、出産を経たオメガはヒートが軽くなることが多い。 種としての繁殖を終えたあとは、育児に専念するため強い発情をしなくなる。生物学的な摂理に適っている。 しかし勿論例外もある。 結婚当初、恭のヒートは二日あれば落ち着くのが常だった。平均的なそれよりもやや短く、症状も軽い方だと、恭自身も圭介も認識していた。 が、藍良を出産後も恭のヒートは変わらず、宗介を産んでからは、明らかに自覚できるほど、逆にヒートが重くなった。 光希を身籠るまでは圭介とセックスをすることでヒートを乗り切っていたが、無事に光希が誕生した数日後、圭介は恭に告げた。 セックスを求められることが苦痛である。自分の遺伝子を継ぐ子供も、もう欲しくない。今後も重いヒートが続くのであれば、セックスは自分ではなく他の人間としてくれないか。 恭は然程ショックを受ける事なくそれを受け入れた。予想していたことだった。離婚こそしていないものの、彼らの関係は今では夫婦ではなくビジネスパートナーだ。 恭はヒートの熱を発散するための相手を複数つくった。 発散するだけではオメガの本能が満たされず、度々故意に避妊具なしでの行為をした。 そうして生まれた弟妹たちが五人。 圭介は自分の子として認知し、潤沢な財源で、何ら異議を唱えることなく八人全員を養育した。 自分の育つ家庭の、常軌を逸した歪さに、子供たちは成長と共にやがて気づいていくこととなる。

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