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#18-7

着いたぞ、と言いながら母がサングラスを外す。 宗介は無表情にその建物を観察していた。料亭というより旅館か何かのような、いかにも歴史を感じさせる日本建築だ。 駐車場には二台の車が停まっていた。一台は父の社用車で、もう一台は見覚えのないベンツ。どうやら自分たちが最後の到着らしい。 車を降りる前にシャツのボタンを留め、裾も仕舞いこむと、母は満足げに頷いた。 門をくぐると鶯色の着物の仲居が出迎えた。 外観だけではなく内装も趣ある立派なものだったが、板の間は土足であがってよいと言われて宗介は驚いた。古い建造物だがバリアフリーに改装されているという。 中庭を見通せる渡り廊下を抜け、案内された離れの入り口でようやく靴を脱いだ。 畳敷きの室内には、案の定、すでに全員が揃っていた。父と鍛治ヶ崎夫妻、そしてその息子の秀二。宗介は一番の下座に座らされた。 シートベルトと同じくらい正座も嫌いだが、耐えるしかない。収まりの良い位置を探して宗介がもぞもぞと足を動かしていると、向かいに座った鍛治ヶ崎秀二に、その様子をじっと見つめられているのに気づいた。 日焼けした肌と艶のある黒髪のコントラストは健康的で若々しいが、年齢相応の落ち着きも感じさせる。 宗介と目が合うと、秀二は柔らかく微笑んだ。 今まで向けられたことのない類の視線に動揺した宗介は、思わず視線を逸らした。

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