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第4話
そしてバイト終わりの柴本と合流して柴本の家に向かう。
柴本が住んでいたのは大学から徒歩圏内のアパートの一階だった。
「散らかってますけど。寛いでてください」
そう言うと台所で準備を始めたので、俺も鞄を下ろしてとりあえずテレビをつけた。
柴本の部屋はシンプルで最低限必要なものだけ揃っているように思う。
「好き嫌いとかありますか?」
「特にない」
「好き嫌いないのにあんなに偏食してたんですか!」
「うるせーな。ジャガイモが特別好きなんだよ」
「そうなんですね。ジャガイモ料理は何でも好きですか?」
うん。と返事をしてテレビを観ていると台所からは小気味よい音が聞こえてきて、暫くすれば良い匂いも漂ってくる。そして料理が得意と言うだけあって、あっという間に出来上がった。
目の前に並んでいるのは卵焼きとポテトサラダ、具沢山な味噌汁と白いご飯。
「今日はあり合わせで申し訳ないですが、明日からはちゃんとメニュー考えますね」
「え? 毎日なのか?」
「一食や二食浮いたくらいで遠心分離機って買えるんですか?」
「いや、買えないけど」
柴本は嬉しそうに笑うと温かいうちに食べるよう促した。
そして柴本の飯を食い(悔しいが美味かった)、風呂に入れられ、今は髪を乾かされている。
食事の対価として約束したので仕方なく好きにさせながらテレビを観ていた。
「トリートメントで整えるだけで艶が戻ってきましたよ。家では何を使ってるんですか?」
「安いやつ」
「これからは風呂もうちで入ってください! 井坂さんの場合、食生活もですけど手入れしてないのも問題なので」
「なんでお前にシャンプーの面倒まで見られなきゃいけないんだ」
「でも、ガス代と電気代も浮きますよ?」
にっこり笑う柴本に足元を見られている気がしてならないが、ぐうの音も出ない俺を見て鼻歌交じりにドライヤーをあてた。
「お前も何が楽しくて俺の髪なんかいじってんの?」
「ふわふわで気持ちいいです」
「それは俺の食事の面倒みてまでやりたい事か? 毎日怒鳴られて嫌にならないか?」
「井坂さんは面白いですよ」
変な奴。そう思いながら、髪を乾かす柴本の手つきがなんとなく気持ちよくて、ゆっくり目を閉じるといつの間にか寝てしまっていた。
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