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第5話

……ここどこ? 「森村くん起きた?」 「……ゆ…うきさん…遊木さん?!」 「お粥食べれそう?」 「俺……俺! ごめんなさい!」 「いいから、そんな急に起きたらまだ熱があるんだし」 「俺、体調悪くて動けないし……遊木さんに会いたくて……でも連絡出来ないし遊木さんから連絡くるかなとか期待してでも全然、連絡こないし……嫌われたのかなとか友達とか言ってたけど、友達とも思われてないんじゃないかとか色々考えてたらここに来てて……ゴッホゴッホ!!」 何言ってんの俺! 咳き込んだ俺の背中を遊木が優しく撫でてくれる。俺はその手を掴んで抱きしめた。 「いいの? 友達はこんなことしない……」 「……俺の方こそ嫌われたのかと思った。それでいいんだって…思ってた」 「なんで……」 「君を助けたのだって俺の気まぐれで…一時的な関わりとしてしか思ってなくってでも、君は……俺に会いに来てくれるし、なんでこんなおじさん構うんだろうって」 「俺…気付いてた。遊木さんにゴミ置き場で声掛けられた時、仲良くなるチャンスだって思ったから」 「そうなの?」 「そうだよ、一目惚れだったんだ遊木…さんに…ずっと声…掛けられなかった。情けないくらいヘタレ…もうあんなことしないし、友達でいいから」 「……しないの?」 「え……していいの?」 小さく頷いた遊木の顔が赤い。俺は遊木の唇にキスをした。 「ごめん! やばい俺…遊木さん離れて」 「嫌じゃない…嫌じゃないから……」 「本当に?」 「……うん」 「遊木さん!」 遊木の唇にキスした。震える手で遊木の髪に触れた。 俺、緊張してる…こんなになるの遊木さんが初めてだよ。俺の気持ちが伝われば好きになってくれる? 遊木さん…… 深く唇を重ね、遊木の躊躇いがちな舌を絡めて軽く吸った。遊木の体が緩んでいく。合わさる唇の音と微かに漏れる吐息に止まらなくなっていく。 「ああ…好き…好きだ遊木さん。うっっっっ、ふぇっっ」 「えっ森村くん…なんで泣いてるの?」 「だって、嫌われてると思ったからっん、なんか気緩んだら泣けてきちゃって…うっっ俺カッコ悪っ」 「カッコ悪くないよ。可愛いなって」 「可愛いか…カッコいいって言われたいな」 俺の頭を撫でながら遊木は微笑んだ。俺も笑って遊木を抱きしめる。 「……もう一回キスしていい?」 「ダメ、森村くん熱あるんだから」 「え~ぇあっ、風邪…移っちゃうか」 「風邪、移ったら看病してくれる?」 「う…ん! 喜んで!」 遊木が俺の返事に笑った。俺はしゃくり上げながら泣き笑い。そんな俺の頬に遊木の指が触れてそっと唇を重ねた。嬉しくてまた泣いて……その涙を遊木が優しく指で拭う。 「森村くんは泣き虫だな」 「うっっっ、ぐすっ、遊木さんだから」 遊木が俺を抱きしめた。俺は遊木の背中に両腕を回して肩に顔を埋めた。 「……森村くんあったかい」 「……う…ん、あったかい…ね」 ずっとこうしたかった。俺の腕の中に遊木さんがいる。俺の気持ちごと全部この熱と一緒に伝染(うつ)ればいいのに…… Calidus ~カリドゥス~【完】

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