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第29話

職員室への電話で先生の名前が分かったが、同時に俺の名前も相手に知られてしまった。 先生が俺へウィンクを寄越すが、特に何も感じない。 「さ、高橋くん?だっけ…とりあえず火傷したところ見せてくれる?」 「はい」 先生は受話器を置くと、俺の前にあった椅子へ移動してしてきた。 俺は言われた通りに手を出すと、すぐに下から差し出した手を取られ患部に薬を手早く塗られる。 塗った薬が取れない様にガーゼが当てられ、白っぽい医療用のテープで何ヵ所か留めた。 「痛みが引いたら外していいからね」 「ありがとうございます。あの…手を」 「それで?これは治療した方がいいのかな?」 手を取られたまま、少し袖を捲りあげられる。 そこには昨晩ついたのであろう拘束による圧迫痕が残っていた。 2日程体育の授業がないのと、今の季節長袖を着ていても不自然でない事から男によってわざと残されたものだ。 俺が返事に困って居ると先生はにこりと微笑み再び立ち上がる。 無言でパーティションで区切られたスペースの方を向くと、腕を捕まれたままなので先生が動き出すとそれに続くかたちとなった。 「それで?これは君で間違いないのかな?」 「そうです…」 ロの字にパーティションで区切られていた所にはベッドが3台ほど置かれていて、いかにも保健室といった雰囲気だった。 パーティションのボートは目隠しの役割と同時に俺の逃走を拒む存在として現実よりも高く見える。 先生の手にはスマホが握られていて、子供の頃の俺の動画が表示されていた。 言い逃れはできないと確信した俺は先生の問いかけに素直に頷く。 「安心して。この動画にはかなりお世話になったけど、今の君は全く好みじゃないから」 「えっと…はい」 明け透けなく言われた言葉に戸惑いつつ、俺はつい頷いていた。 何に対しての頷きかは自分でもよく分からなかったが反射的に頷いていたのだった。 本人確認の後にその動画に出ている俺に対して“お世話になった”とは、随分配慮がない様に感じたがそれ以上は当事者としてなにも言えない。 動画は今は停止された状態だったが、俺が分娩台に目隠しをされた状態で拘束されている。 「この動画、サイトからはすぐに削除されちゃったから余計に評判になってたよね。画角は微妙だし、画質も悪いんだけどそれがっぽくて良かったんだよね」 「は、はぁ…ソウデスカ」 熱心に語る先生に、俺は何と答えていいか分からなかった。 本物みたいではなく、俺にとっては全てが現実に起こっていた事でけしてそれが合意の上で行われた行為では無かったからだ。 動画が撮られた頃は男に組敷かれ、抵抗して更に酷く陵辱を受けるの繰り返しだった。 それが映像ではどんな風に映っているのか想像もできない。 『ひぅ…』 『まだピンクの乳首に子供特有のお腹…ぐふふ。おへそも可愛いね』 「確かにこの年齢の子のお腹って魅力的だよね」 何も言わない俺に見える様に再生ボタンを押した先生のスマホからは少し甲高い声が聞こえてくる。 まだ男に改造される前の未開発の俺の体がアップで写されていく。 乳首も今とは違ってピンク色で慎ましい。 腹も今と違って子供特有の引き締まっているのにふっくらとしていて、足を大きく開いているせいか肉がよっている。 確かに先生が言うように画質は荒く彩度は良くなかったが自分の分だけ記憶のお陰か色などは脳内でこうだったなと補完できていた。 『今から気持ちよくなれるお薬沢山ぬりぬりしてあげるからね』 動画で男が容器を取り出す。 そこには細い棒が何本か刺さっており、液体が入っているのかちゃぽちゃぽと音がしている。 映像を見せられつつ、俺はこの時の恐怖を思い出していた。 初めて犯された日からこういった辱しめを何度も受けていたが、映像が残っていたとは驚きだ。 動画内では、男が容器から棒を1本取り上げた。 先端が毛束になっているのがスマホの小さな画面でも分かる。 男の宣言通り、容器から取り上げた筆で俺の身体に何かを塗りつけていた。 『乳首には念入りにね?』 『うぅ…』 筆で円を描くように俺の乳首へ念入りに液体を塗りつけている。 この時は何をされているのか分からなくて泣くことしかできなかったな。 男が持った筆は今度は俺の未発達のペニスに標的を移していた。 『ちんちんは更にたっぷり塗らないとね』 男の楽しそうな声に動画内の俺は震えている。 もう一本筆を取り上げた男は、睾丸を挟む様に外側の左右から両手で筆を滑らせていく。 筆がどんどん先端に向かって行き、拘束されている俺の腰だけがぐっと持ち上がってきた。 時折液体を筆先に含ませるちゃぽんという音が俺の荒い息遣いの間に聞こえる。 『そんなにおねだりしなくても、ちっちゃな亀頭にも沢山ぬりぬりしてあげよ。ぐふ。腰が浮いてきちゃってるね』 『はひっ。はっ…はっ』 かくかくと腰が動いている俺に、男は機嫌良く両手で筆を滑らせる。 振動か何かでカメラの位置がかなり左に寄ってしまっていて、俺の腰の動きで時折俺が画面からフレームアウトしてしまっていた。 男が鈴口にもたっぷり液体を塗りつけると、今度は孔の方へ筆を滑らせる。 『まだ蕾がかたいね。これからどんどんおじさん好みのえっちな縦割れのメス孔にしてあげるからね』 『ひぎっ!!』 『中にも塗り込むよ~?』 小さなペニスから垂れはじめた液体が孔の上を滑っていく。 男は持っていた筆の1本を容器に戻すと、空いた手で尻の肉をむんずと掴む。 太い親指で孔を引っ張って広げると真っ赤な内部が見える。 そこへ持っていた筆で孔の縁を撫でた。 『ひっ!ひぃぃぃ!!!』 『あーあ。折角我慢してたのにね…お仕置きだね』 『や…やだぁ!おし…おきやぁぁぁ!!』 俺の腰の震えが大きくなり、ペニスからは液体が飛び出している。 画質が荒いせいで液体が透明なのか白濁しているかまでは見えなかった。 動画を見て俺はふとこの頃は精通していただろうかと遠い記憶を引っ張り出す。 「この頃って高橋くん精通してたの?」 「どうでしょうか。覚えてません」 吉高先生が、興味津々で俺に聞いてきたが特に隠すような事でもないなと思ったので素直に答える。 動画を見せられている時点で、隠し事をする気は失せていたしどうせ隠しても意味がないだろう。 ふと吉高先生の下半身が目に入る。 反応しているのを見てしまい“お世話になった”と言うのは嘘ではないのだと確信を持ってしまった。 俺はどう対応すればいいのか分からなかったが、動画はまだ続いている。 『やっ!おなか…さわらないぃぃでぇ!!ひぅ!』 『まだ慣れてないから力一杯締め付けてくるね。中の気持ちよくなるスイッチ押したらどうなっちゃうかなぁ?』 『やめっ!やめて!!ゆ、指ぬっ!!』 『おっほ。ここのざらざらしてるところをっと。ほぉら…とんとん』 男の指が1本俺の孔へ挿入され、指を曲げたのであろう瞬間にぐちゅっと水音が鳴った。 それを皮切りに俺の叫び声とそれの合間に激しくぐちゅぐちゅという音が流れ始める。 『あっあっ…やだ』 『指でいやいや言ってたらおじさんのちんちんおへその上まで来ちゃうんだよ?』 『ひっ!!』 男は手に持っていた筆をおろして、俺の腹の表面を撫でる。 ヘソの上辺りを撫でながら言い放った言葉に、俺は恐怖した様で身体を捻っているが拘束されているせいで上手く動けていないし抵抗したせいで男の指の動きが更に激しくなった。 指で孔を広げながら刺激するようなぐぽぐぽと空気を含んだ粘着質な音が聞こえてきはじめる。 音は時々割れているのか耳障りな音に感じる時があり男の指に翻弄され、間もなく絶頂を迎えるのか俺の首が大きく仰け反ったところで動画が終了してしまう。 「すっごく良いところで映像が切れちゃってるんだよ!!動画が出た当初は何かのプロモーションかと思って関連動画とか製品とか探したりしたんだけど、一切そういった情報が無かったから素人作品だって事になってね?」 「あ、そうなんですか…」 当事者に嬉々として話す吉高先生はどうかと思ったが、俺はこの人へ口止めする為に何かしなければならないのではないかと不安になりはじめる。 下半身は相変わらず反応してスラックスが膨らんでいるので、俺は相手に分からない様に小さくため息をついた。 「それ処理するの手伝うので、ベッドへ腰かけてもらえますか?」 「え!そんなつもりじゃ無かったのに、悪いねぇ」 最初に俺に対して“タイプではない”と言った発言は何だったのかと思わせるほど清々しく俺の提案に乗ってきた吉高先生に俺は遂に大きなため息が漏れた。 しかし、自分から提案した事なので俺は吉高先生へ背を向けて制服が汚れない様に上着やシャツを脱いでいく。 脱いだ物は吉高先生が座ったベットとは反対側のベッドの上に置いた。 「へぇ。高橋くんは悪い子だなぁ…学校にアクセサリーなんて着けてきてるんだ。それに、動画の頃より開発されてるんだね」 「見えないところは校則には関係ありませんから」 「まぁ、いいけど。でも、僕も役得ってやつかな」 俺が吉高先生の方へ振り返ると、俺の乳首を見て教育者みたいな事を言うが、この状況では言葉に全く威厳も説得力すらない。 男によって引き伸ばされ肥大化した乳首には現在ストレートタイプのピアスが光っている。 リングタイプだと制服に形が浮き出てしまうので目立たない物へ変えたのだ。 俺は吉高先生へ淡々と答えつつ床に膝をついた。 吉高先生を見上げる様な形にはなったが、男の時の様に今のところ俺の身体は全く反応を示してすらいないのだ。

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