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第30話

膝をついた床は思いの外冷たかった。 しかし、俺は気にせず床に正座して吉高先生を見上げる。 「俺がスラックス寛げればいいですか?」 「やっぱり飼い主がいるせいか、妙に冷静だね。萎えそうだよ」 「萎えていただければ、俺の手間も省けますね」 「えー。君って妙に冷静だし、こんな感じの子なの?」 自分でも殆ど初対面の人にこんなに冷静に対応できるとは思ってもいなかった。 萎えそうと言いつつもしっかり自分でスラックスのボタンを外して前を寛げている。 これから先は俺がしなければならないだろうと思って膝で立とうと腰をあげたが、先生は自分で下着までおろす。 「ふふふ。そんなに見つめられると、穴が開いちゃうかも」 「いえ…言動と行動が違ったので戸惑っただけです」 下着から出てきた吉高先生の性器を見て、一瞬動きが止まった。 凝視していたせいか、吉高先生がクスクスと笑うのでそのまま俺は手を伸ばす。 先生の性器は男の物とは全然違った。 男の物は他と比較したことは無いが、自分の異常な性器と比べると長さは短めだが太くて何度もする為か持久力がある。 俺の性器を肥大化させたのは、一種のコンプレックスだったのでは無いだろうかと吉高先生のペニスを見て思った。 吉高先生のペニスは、男と比べるやや細いが長さがあった。 何より、男のモノは赤黒いのに対して先生のは全体的に色素が薄い感じがする。 しかし、使っていないというよりは元々の体質的な様な感じがした。 比べる対象が男と自分なだけなので確定的な事は言えないが。 「調教されてるとペニスなんて見慣れてるかと思ったんだけど、そんなに至近距離でまじまじと見られると流石の僕でも恥ずかしいんだけど…」 「あー。スミマセン。他の人のをまじまじと視たことが無かったので。それに、うちの“ご主人様”はどうも独占欲が強いようで」 俺は吉高先生のペニスを握ったままじっくりと観察してしまった。 吉高先生も少し苦笑いを浮かべている。 「そんな独占欲の強い“ご主人様”を裏切る行為を率先してやろうとしている君も中々根性あるよね」 「まぁ。これは“口止め料”として、しようと思いつきでしたし相手がこんなに簡単に乗ってくるとは思わないじゃないですか」 「僕はチャンスは逃がさない様にしてるんだ。それに基本的に人間、気持ちいい事は大好きだし中々“飼い犬”の方から何かしてもらう機会って無いからさ」 本当にはじめは、ただの思い付きで言ってみただけだったのだが案外先生も乗り気の様だ。 俺は“飼い犬”という言葉に自嘲的な笑いが漏れる。 確かに幼少期から性処理用の肉便器として飼われている俺は立派な“飼い犬”だろう。 他の“飼い犬”をきちんと見たことはないが、男の口ぶりから“飼い犬”は外にはあまり出さないものらしい。 男の大好きな“散歩”以外で外に出すと逃亡等のリスクがあるからなのだろうと言うことが容易に想像できる。 その点、俺はきちんととは言い難いがはじめから学校にも通ってはいた。 しかし外の世界を知っているせいで俺の生活や置かれている環境は異常だと言う事が分かるせいか、自分は惨めだとひしひしと感じている。 この改造された体も日常生活では不便でしかない。 「はぁ。そうなんですか…」 「“飼い犬”はやっぱり飼い主に逆らわない様に従順に躾る事が多いし、稀に反抗的な子を堕とす事が目的で反抗的な子を飼うって事もあるけど…どっちにしても“飼い犬”の意思は尊重しないからね」 吉高先生の言葉に、自分を当てはめてみれば納得する部分が多い。 確かに“飼い犬”には意思は要らないだろう。 優しく躾るのか、暴力によって恐怖心を植え付けたりと厳しく躾るのも飼い主の資質の部分が大きい。 そう考えると、俺の飼い主である男は自分勝手で自己中心的。 そして暴力と快楽によって俺を服従させている。 まぁ、今から吉高先生にすることを考えると全てが男に従順という訳ではないので躾としては失敗しているかもしれない。 そう考えて、俺は自然と笑いが込み上げてきた。 「はい。無駄な話は終わり…って僕のペニスを持って笑わないでくれる?」 「スミマセン。先生のを見て笑った訳ではないですから。お詫びに口でしますか?」 「そもそも指を火傷してるから消去法でしょ?」 「そんな事ないですよ?」 少し空気が和んだところで、俺は吉高先生のを咥える。 まず亀頭全体に舌を這わせ、次に括れの所をぐるりと舐めた。 舌を竿へ添えてから口をすぼめて頭を上下に動かし、唇で全体を刺激していく。 遠くでは午後の授業が始まるチャイムが聞こえている。 「やっぱり上手だね」 「んっ。“飼い犬”歴が無駄に長いもので」 吉高先生に頭を撫でられたので、一旦口を離した。 俺が軽口を言うと吉高先生が笑う。 少し前までは言い知れない恐怖があったが、こんなに穏やかな雰囲気になるとは思っても居なかった。 状況は普通ではないが、何より吉高先生は俺の事をタイプでは無いといいつつも優しく接してくれているところに安心感がある。 気に入らない事があれば殴ってきたり、俺の事などお構い無しに俺の身体を玩具の様に弄んだりもしない。 そう思いながら、俺はちゅっちゅとわざと音をたてながら亀頭に唇を寄せる。 こんな事をしているが、悔しい事に身体は全く興奮を覚えていなかった。 「そろそろ出してもいい?」 再び咥内へ迎え入れたペニスが小刻みに震えはじめたのを舌や唇で感じはじめた頃、頭にふわりと手を添えられた。 俺は小さく頷くと、ちゅうっと強くペニスを吸って喉の奥へ迎え入れる。 鼻が陰毛へ埋まり、男の脂っぽい肌の香りではなく少し香水の残り香の様な吉高先生の香りを吸い込んだ瞬間喉の奥で熱いものが弾けた。 俺は噎せない様に鼻で息を吐きつつ、口からペニスを引き抜く。 最後に鈴口から残りの精液を吸出し、吉高先生へ向かって口を開ける。 ドロリとした精液が舌から垂れても良いように顎の下に手を添えて吉高先生へ咥内を見せつけた。 「そんな事まで躾られてるの?僕、自分の出したものを見て興奮するタイプじゃないんだよね。ありがとう。口濯いでおいで」 口を開けたことで鼻に精液独特の臭いがあがってきた。 案の定、精液は顎の下に添えた手の上に垂れる。 優しく俺へ声をかけた吉高先生がスラックスを整えるのを眺めつつ、俺はまたこくんと頷く。 精液を飲み込む様に言われなかった事へ安堵してベッドへ汚れていない方の手をかけて立ち上がり、パーティションの一角にある扉のドアノブを押した。 パーティションでできた小部屋から出て、保健室の出入口の横にあった水道で手を洗って口の中の精液を吐き出す。 洗面台に吐き出した吉高先生の精液が排水溝へ流れていくのを見つつ、ふと目の前に鏡があることに気が付いた。 そこに映っている俺の口元には吉高先生の陰毛が数本ついている。 最後にペニスの根本付近まで口に入れたのでその時ついたのだろう。 陰毛を指先で摘まんで洗面台に落とし、蛇口から流れる水を手で掬って口を濯ぐ。 「はい」 「あー。ありがとうございます」 蛇口を閉めたところで、吉高先生が横に居てタオルを差し出してくれた。 それにお礼を言いつつ素直に受けとって濡れた口許を拭う。 タオルからは俺が使っている物とは違う香りの柔軟剤の香りがした。 タオルを持っていた反対の手には、俺の制服が手にかかっていてそれを渡されたのですぐにワイシャツとジャケットを羽織る。 「そのタオルは保健室の備品だから家で洗ったら、担任の先生にでも渡してくれたらいいよ」 「分かりました」 「空気も和んだ事だし、色々聞かせてもらっていい?」 俺が受け取ったタオルをどうするべきか悩んで居たのが分かったのか、先生が指示を出してくれたのにはほっとした。 吉高先生は窓際にあるソファーを指差して話を聞かせて欲しいと言ったが、色々と順番が違うような気がする。 しかし、別に嫌な気はしなかったので頷いて窓際へ移動した。 「服を整えてからでいいよ」 「ボタンをとめるだけなので大丈夫ですよ。それで?何を聞きたいんですか?」 俺達は向かいあってソファーに座った。 俺はワイシャツのボタンを順番に上からとめていくのを見て、吉高先生は制服を整える様に言うが俺はそれを断った。 どうせボタンをとめるだけだし、待って貰うこともない。 それに珍しく空腹感が沸き上がってきたからだ。 男との生活は、端から見れば裕福なんだろうとは思うがそこに身を置いている俺としては気を抜く暇もないないのが現状だった。 唯一、そこまで気を張らずに居られるはずの学校での先程の出来事なので少し疲れて気が抜けてしまっての空腹感だろう。 「話を聞く前に、お昼食べそびれちゃったしお菓子でもどう?」 「先生ってモテそうですよね」 吉高先生は自分の横に置いてあったビジネスバッグの中のからチョコレート菓子が出てきた。 それを一箱丸々手渡され、俺の口からはポロリと言葉が漏れる。 俺の一言に、吉高先生は一瞬動きを止めたがすぐにクスクスという笑いがこぼれた。 「本命には振り向いてもらえないけど、お菓子1つで心も“股も”開いてくれる子が居るんだよね。その子用だよ」 「前言撤回です。かなりの不良教師ですね」 ちょっと優しさに飢えていたせいか、少しの優しさが身に沁みるとは自分でも散々経験してきた筈なのにまんまと騙されるところだった。 俺は遠慮なくお菓子の箱を開いて、ひとつを口に含んだ。 男の口から渡されるチョコレートはねばねばしていて男の唾液と混ざり汚水の様で好きではなかったが、今食べたものは美味しいと感じる。 不覚にも目からは涙が出たが、すぐに口元を拭くために渡されたタオルで拭ったのを先生は見て見ぬふりをしてくれた。

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