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第38話

淫靡な宴がお開きになる頃には、空はすっかり白み出しているのが部屋の大きな窓から見えた。 俺は荒い息を吐きつつ、疲労による眠気で瞼が重くなっていくのを何とか堪える。 俺の周りには“ペット”達が俺同様に荒い息を整えていたり、四肢を投げ出した状態で気絶している者もいた。 皆一様に、精液やローションや誰の分泌物か分からない液体で身体が濡れている。 俺達を攻め立てて居た奴等は、別室で仮眠をとっているので現在この部屋には居ない。 この部屋には俺達“ペット”が集められていて何人かは気絶しているが、意識がある者達は一様に疲れた顔をして居る。 絨毯張りの部屋は所々に液体によるシミが点在しているが、男の口振りからするによく使っている部屋の様なのでこんな事日常茶飯事なのかもしれない。 部屋の外から何やら話し声が聞こえてくる。 部屋に居る者達は息を忘れてしまったかの様に、皆一様に息を潜めた。 「今度の集まりは人気のない別荘みたいなところでもいいですね」 「部屋数が少ないとはいえ、確かに周りの部屋に気を使わなくてもいいですしねぇ」 「何より外でできるのが良いじゃないですか」 部屋の外からの話し声の内容が全部聞こえてきたせいで、皆の雰囲気は一気に不安な物へと変わった。 ただでさえ、複数人での行為に慣れていない者からすれば今回の催しは苦痛だっただろう。 それが主催者達だけの空間で、部屋の中だけではない関係者以外がいつ来てもおかしくはない外での行為までさせられるかもしれないとなれば不安にもなってくる。 「関係者だけですし、ファッションショーとかも面白いですね」 「あぁ。新しいのも入っているかもしれないですしね」 「え?新しいのを迎える予定なんですか??元気だなぁ」 くすくすという笑い声まで聞こえてきたせいで、部屋の温度が一気に下がった気がする。 皆が一様に体を丸め自分自身を抱き締めたり腕を擦ったりしはじめた。 俺もその催しに参加させられるのかは分からないが、参加させられれば昨晩の様に人権を無視した行為が行われるだけだ。 今まで男にされた事と一体何が違うのだろうか。 人が沢山居る事以外に、何も変わらないし寧ろ男との行為の方が過激かもしれない。 日常的に散歩と称して裸で夜の公園を犬の様に歩き回らせられたり、散歩が終わればスタート地点で男に口で奉仕したり犬の様な格好での交尾の様子を知らない人に見せたりされている。 しかも最近ではその散歩の観覧者を募ってネットで集金までしているらしい。 それと別荘での乱交パーティーと何が違うのだろうか。 俺は眠い目を擦りつつそんな事を考えていた。 「うっ、うぇ…」 “ペット”の一人が泣きはじめた。 それが引き金になったのか、啜り泣く声が聞こえ始める。 俺はそれをただ呆然と見つめているだけで、何も感情がわかなかった。 男に飼われはじめた頃は毎日が辛くてどうやったらこの地獄から抜け出せるか、どうしたら自ら命を絶つことができるかとそんな事ばかりを考えていた。 しかし、今はどうしたら男を苦しめてじわじわと動けなくしていけるかと考える事の方が多くなってきている。 俺をこんな身体にしておいて自分だけなんの罪悪感もなく、何不自由なく暮らしていけると思っている方がどうかしているのだ。 だから、他の“ペット”達には悪いが俺は辛いと思える感情を当の昔に捨てざるをえなかったので共感してやることができない。 俺はどんどん瞼が重くなっていくのを止めることもできず、自分の膝に額を預けた。 啜り泣きを子守唄代わりに俺は意識を手放す。 「んぶっ…んぐぅ」 口の中に何かが侵入して来た事で息が苦しくなってきた。 息を大きく吸うために無意識に口を更に大きく開くが、ネバネバとした物が舌を捕らえる。 ぐちゅぐちゅという水音が大きく聞こえてきた。 腹部を撫でられているのか生ぬるいものが腹の上を往き来している。 どうせ男に身体をまさぐられて居るのだろうと思って仕方なく目を開いた。 「え…」 「あ、起きた?」 「だ、誰?」 目を開いたのに目の前が真っ暗で、すぐにアイマスクか何かがされていることが分かる。 俺が声を出した事で、起きた事に気が付いたのか聞きないれない声が聞こえてきた。 聞き慣れた男の声ではない事に驚いて、アイマスクを外そうとしたが腕は動かない。 「高橋さんも水くさいなぁ。中々連れてこない子をやっと連れてきたと思ったら、玩具は良いのに挿入もキスも無しでただ自慢するだけなんてなぁ」 「・・・・」 「本当ですよ。今、君のご主人様は寝てるよ。その間に味見させて貰おうと思ってね?」 「男の奴隷は妊娠しないのがメリットだから、たっぷり腹の中を私達の子種で満たしてあげよう。終わったら皆で汗を流しながらもう一回戦なんてのもいいですなぁ」 状況が分からず俺が黙っていると、最初の男とは違う声が聞こえてくる。 俺は複数の人物に取り囲まれているらしい。 抵抗すればいいのかと悩んでいる間に話が纏まった様で足をがばりと持ち上げられた。 「ちょっと!やめてくだ…」 「昨日触らせてもらった時に思ったけれど、お尻の穴はキレイに縦に割れてちゃんとメス穴なのにちんちんはおっきいんだね」 「しかも乳首にはピアスなんて着けて」 「いっ!!」 身体を捩ってみるが、男達からは再び笑い声があがる。 乳首に取り付けられているピアスを引っ張られた事で声が出てしまった。 それに気を良くした男達の手が俺の身体をまさぐり始める。 「やめ…やめてくだ」 「すごい嫌がり様だけど、長いこと飼われてるのに他の“飼い主”としたことないのかな?」 「へぇ。高橋さんも見かけによらず独占欲強かったんですね」 「身体はちゃんとスケベに調教されてるみたいだけどな。ケツアナヒクヒクさせて誘ってるし」 尻の肉を無遠慮にガシッと掴まれた感覚の後に左右に肉が割り広げられた感覚がする。 アイマスクか何かで視界が遮られているせいで見えないながら、身体を隅々まで観察されていることが男達の会話で分かった。 脚に力を入れるも、かなり強い力で押さえつけられているのか拘束でもされたのか動かすことができなくなっている。 「ひっ!!」 「睾丸は小さいのに、竿の部分は長くてカリも高いですね」 「どうやったらこんな理想的な形にできるもんですかね」 「ちゃんと勃起もしますし、高橋さんが起きたらやんわり聞いてみましょう」 ペニスに生ぬるい何かが巻き付いた感覚に声をあげるが、男達の会話を聞く限りペニスを掴まれたらしい。 刺激を与えるようにゆるゆると手を動かされ、身体が強制的に高められていく。 吉高先生のを咥えた時は全く身体は反応しなかったのに、視界が遮られた状態で身体が強制的に高められてしてしまっているのに戸惑いが隠せない。 「このまま1回イカせます?」 「なら、口を塞いでおいた方がいいですかね?」 「あ。昨夜使ってた電マここに持ってきてますよ」 「んんんんんんっ!!」 口元を押さえられ、裏筋に振動する物が押し当てられた。 男達が電マと言っていたので、電気マッサージ機が当てられたのだろう。 冷静に考える暇がない位に後頭部を殴られた様な刺激が身体を襲った。 自然と身体が反ってきてしまって、自らペニスを突き出す格好になる。 「お!がに股になってきた」 「ちんちん突き出すのスケベでいいな」 「お尻も寂しくなってきたかな?」 「んぐぐぐぐっ」 男達からまた笑い声があがるが、電気マッサージ機のモーター音の方が俺には大きく聞こえているので何を言っているのか聞き取れない。 孔に指が侵入してきたせいで、それを待ってましたとばかりに身体が指を締め付ける。 「これは高橋さんが独り占めしたくなる気持ちも分かりますよ」 「どれどれ?」 「むっ!むう゛っ!むんんんんっ!」 一人の発言に、孔に次々と指が侵入してきた。 何本もの指が縦横無尽に動き回り、電気マッサージ機の刺激も相まって俺は呆気なく絶頂を迎える。 顔に熱い液体が降り注いだのにも男達から歓声があがった。 「セルフ顔射しちゃうほど気持ち良かったのか」 「やっぱり“ペット”は感度が良くてなんぼですな」 「絶頂させればさせるだけ男としての自信にも繋がりますしな」 男達がその通りと言い合う笑い声を聞きながら、なんとか鼻で息をして息を整えようとしているのに指は止まることを知らない。 部屋にはぐぢゅぐぢゅという俺の孔が立てる粘着質な水音が響いている。 「んむっ!!」 「全員に(なか)がはっきり見える位ぽっかりケツアナ引き伸ばされてるのに、孔の縁をヒクヒク震わせて男を誘うなんて“ペット”ってのはは本当にだらしないなぁ」 「主人以外のちんぽをそんなに欲しがって恥ずかしくないのか?」 「今からレイプされるのを本当は喜んでるんじゃないのか?」 孔の縁に指を掛けられ大きく引き伸ばされたせいで、男達に腹の中を観察される。 よってたかって口汚く罵られて居るのに、俺の身体は直接的な刺激にまたしても絶頂を迎えようとしていた。 毎日犯されている身体は男達のいう通り快楽には弱いが、今は勝手に刺激に反応している自分の身体の反応が恐怖でしかない。 男も何を思って俺をこんなところに連れてきたのだろう。 「ピアス付の乳首もコリコリにしてるし、待ちきれないか?」 「じゃあ、時間も無い事だし“ペット”くんのご期待にそろそろ答えてあげようかな」 「じゃあ、その間に私はお口でも堪能させて貰おうかな」 自分の本当の主人である男に疑問がわいたが、そんな事を考える暇もなく両方の乳首をピアスごと摘ままれ潰される。 口を押さえていた手が外されたところで、顎を掴まれ生暖かい物が挿入された。 強制的に咥えさせられたのかと思ってそれを押し出そうとしたが、生暖かい物は俺の舌に絡み付いてきた事でキスされて居るのだと気が付く。 キスされていると分かった瞬間、ぞわりと嫌悪感による鳥肌がたった。

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