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第25話
「亜樹はまだアイツが好きなのか?」
ゆっくりと歩きながら誠也が聞いてくる。
僕は好きな気持ちはあるかもしれないけれど今はその気持ちが誠也に向いている。
でもそんな事は言えない。
「前みたいに好きじゃないよ」
「でも、まだ好きなんだな」
「それは・・・嫌いになった訳じゃなくて・・・でも、付き合いたいとか側に居たいとか思わないよ」
「そっか・・・なら良かった」
「うん」
この会話以降、家に着くまで僕と誠也は黙ったままゆっくりと歩いていた。
けれどその沈黙は嫌じゃなくて心地よい感じで僕は安心できた。
本当にこんな気持ちになるのは誠也しかいないんだ。
先輩の時は好きになって欲しい気持ちしかなかった。
誠也にも好きになって欲しいけれどそれ以上に暖かな気持ちが湧き上がって来て落ち着くんだ。
これが本当に好きって感情なのかな?
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