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第29話

「好きな奴って誰だよ」 「お前には関係ないだろ?」 「香奈ちゃんがまた泣くだろ!」 「俺だって好きな奴が大切でもう泣かせたくないんだよ」 泣かせたくない。 胸が痛いよ。 誠也に好きな人がいてもしかしたら付き合ってるの? 泣かせたくないからって言ったからきっと付き合ってるんだよ。 僕だけがドンドン好きになって馬鹿みたいに浮かれてた。 少しだけ期待もあったんだよ。 あんなに優しくされたりしたら勘違いしちゃうよ。 誠也は親友だから優しくしてただけなんだ。 目の前が涙で見えなくなっていき瞬きをするとそれは溢れ落ちていった。 僕は改めて突きつけられた現実にその場から動けないでいた。

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