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第31話

「嫌なら突き飛ばせよ。亜樹」 そう言うと僕は暖かくて大きなものに包み込まれた。 何? 僕は何をされてるの? 「ごめんな、亜樹」 ギュッと力強く抱きしめられる感覚。 僕は誠也に抱きしめられているんだ。 「好きだ、亜樹」 えっ? 誠也が? 僕を好きと言ったの? 「聞いてたよな?ずっとここに居たの気づいてた。俺の好きな相手は亜樹だ」 誠也が僕を好き? 「だから、泣き止んでくれないか?亜樹が泣いたのは俺の事だよな?」 少し不安そうな声で誠也が聞いてくるけれど声が出ない。 ちゃんと伝えなきゃと思えば思うほど何を言えば良いのか分からない。

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