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第32話

僕も好き! 「す・・・き・・・」 「亜樹?」 力が入っていた誠也の腕が僕から離れようとした。 それが嫌で僕は自分から誠也の背中に腕を回し胸に顔を埋めたのだ。 「亜樹、ありがとう」 小さな声で呟くと離れかけた誠也の腕にまた力が入った。 こんなに嬉しいことなんてないよ。 夢じゃないかと思えてくるけれど抱きしめられた温もりは本物だ。 どうしよう・・・。 好きが僕の中でも大きくなっていってこれ以上は抑えがきかない。 いつも好きを抑えることをして来たからあふれでようとする感情が怖い。 それに本当に誠也を好きになっていいかとか色々と考えてしまう。 「夢じゃないよな?」 誠也? 「俺さ、アイツに亜樹を取られて初めて気づいたんだよ。亜樹が何よりも大切な存在で愛おしいと・・・・・」 「誠也・・・」 「亜樹、大切にするからアイツみたいに酷い事しないから信じて欲しい俺のこの気持ち!」 ずっと優しくしてくれたじゃないか誠也。 僕には痛いくらい伝わっていたけれど誠也はずっと女の子が好きだと思っていたから戸惑いや不安は隠せなかったんだ。 誠也、好きだよ。

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