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第45話
「待てないからな亜樹」
「うぅっ・・・!」
僕の唇を誠也が塞ぎ貪りつくようなキスをしてくる。
飢えた獣。
けれど怖くはなくて荒々しさの中にも誠也の優しさが出ている。
そう思うと僕の中で何かが思い出された。
先輩との・・・。
先輩も痛い事や嫌な事をたくさんしたけれどいつも最後は優しく抱いてくれた。
僕はそれは嫌じゃなかった。
だからなの?
先輩と離れられなくなっていたのは?
それで好きとか思ってしまったの?
誠也と先輩は何が違うのかな?
不意に誠也が僕から離れてベッドに座ったのだ。
「誠也?」
「亜樹・・・今さ、何考えてた?」
誠也は悲しそうに僕を見ていた。
ズキっと胸が痛み目に涙が溜まり始める。
こんな胸が痛むなんて先輩の時よりも苦しくて切ない感情。
誠也にそんな顔させるなんて僕は何をしているんだよ。
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