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第64話
玄関に近づくと人影が見えてきた。
「おかえりなさいませ」
「あぁー」
そこに居たのは男性で30歳とかでは無いとおもうんだけどスーツを清潔に着こなし顔立ちは整っていてモデルさんみたいだった。
僕は頭を下げると柔らかく笑い返してくれた。
「亜樹、こっちだ」
「お部屋に何かお持ち致しましょうか?」
「適当に何か持ってきてくれ」
「かしこまりました」
やっぱり使用人とかいうやつなのかな?
先輩って噂通りのお金持ちだったんだ。
「亜樹」
「はい」
「家では手を繋げないからはぐれるかよ」
「はい、わかりました」
さっきまで笑っていた先輩の表情が悲しそうな冷たい感じに変わった。
この先輩は僕は知っている。
あの頃の先輩だ。
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