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第91話
何を言ってもダメだと理解した僕はその場から走って逃げ出した。
カバンも教室に置いたままだし靴も上履きのまま出てきてしまった。
家に帰りたくなくてあの公園のベンチに座っていた。
小さな子供達が楽しそうに遊んでいて近くで母親達が旦那さんの話や子供の話をしている。
そっか、本来はこれが当たり前の光景なんだよ。
結婚して子供が出来て家族で幸せに過ごしていくのが当たり前なんだ。
僕達がこの将来を手に入れる事なんて出来やしなかったんだ。
分っていた事なのに何故か当たり前の人生じゃなくても僕達は大丈夫だと思ってしまったんだろう。
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