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not sweet… 6
「ん…っ」
深くなったキスに、巧みに絡む舌に翻弄されて、紫音の言う通り「反応」してしまう。ついさっきまでテーブルを挟んでいた筈が、もう紫音は隣にいて、キスをしながら性急にポロシャツを脱がされる。
上半身をはだけられた頃には、すっかり紫音に体重を乗せられてフローリングに仰向けの状態になっていた。
「…紫音、シャワー浴びてからにしよう」
唇を離した紫音が上から俺を見下ろす。さっきまで俺の口を食んでいた唇と、妖しく蠢いていた舌が赤く濡れていてなんとも卑猥だ。
「シャワーなんて待てないです。ハル先輩だって…」
「っ…」
キスだけで既に反応していた下半身をやんわりと撫でられて、息が詰まる。
「ハル先輩のえっち」
クスリと笑う声と耳元にかかる吐息に頬が熱い。
「紫音だって…!」
お返しとばかりに紫音の中心に触れると、思っていた以上にそこは張り詰めていてある意味ほっとした。自分ひとりだけ勝手に昂っていたのならばいたたまれない。
「ね、シャワーなんか絶対無理でしょ?」
「……じゃあせめてベッド行こ」
「今日はこのままここで襲いかかりたい気分です」
ベッドまで我慢できない。そう囁かれて一気に劣情を刺激される。なんせ会うのは2ヶ月ぶりで、つまりそういうのも2ヶ月ぶりなのだ。紫音が性急なのと同じくらい俺自身も紫音を、紫音の熱を求めていた。
「ッ…ぁ……」
胸に顔を埋めた紫音が乳首に吸い付いて、声が上がりそうになるのを堪える。たった2ヶ月だとしても間が空けば自分が紫音の前でどんな乱れ方をすればいいのか自信がなくなる。別に演技をしてるとかそういう訳じゃなく、逆にどこまで我慢して、どこからさらけ出していいのかがわからなくなるのだ。
「声、我慢しないで」
紫音が胸の突起を舌で転がしながら言う。我慢しきれない吐息や、鼻にかかったような声にならない音が既に口からは漏れ始めていた。そうして紫音とのセックスを思い出す。正確には忘れていた訳ではないので、思い出すという表現も違う気がするが。ともかく、どう乱れればいいかなんて考える隙もないくらい、俺はいつも紫音に乱されてしまうから、考える必要はないんだった。
「っは、あ…くっ…」
「ハル先輩の声可愛い」
「や…っだ、言う…な」
「なんで?俺ハル先輩の感じてる声すげー好きなのに」
口に含まれていないもう片方の突起を指で摘ままれ、潰す様に捏ねられて、紫音が好きと言う俺にとっては恥ずかしいだけの声が大きさを増す。
「や…やだ、だめっ……ッ」
久々の刺激に、まだスラックスに覆われたままの中心が今にも爆ぜそうだ。そこにはまだ触れられてもいないのに。
「早いねハル先輩。溜まってた?」
俺の状況がわかったのか、紫音がスラックスに手をかける。
「俺と会えない間、ちゃんと禁欲してたんだ」
そんなの当然だ。紫音以外と身体を重ねるなんて、そんな事考えられない。
紫音の手は、俺のスラックスのベルトを外すと、何か逡巡するように動きを少し止めて、顔を挙げた。その顔は楽しそうで、口角が上がっている。
「もう脱ぎたい?」
わかってる癖にわざわざそんな事を聞いてくる紫音は性悪だ。いや、根っからの性悪ではないのだが、ことこういう場面になると、Sっ気が出てくるらしい。
でも意地を張っていられる状況でもないので紫音の目を見上げて頷く。夢精でもないのに下着を汚すのはごめんだ。
頷いたのに満足したらしい紫音がボタンを外してスラックスを足から抜いた。そこではたと気づく。俺だけすごく肌蹴ているではないか。
「紫音も。紫音も脱いで」
紫音の手が続いて下着に伸びたのを手で制して言う。
クスッと笑って、わかりましたと紫音がTシャツとスラックスを脱ぎ捨てる。
「見て、ハル先輩の凄い…」
「や…」
紫音が俺の股関を覗き込む。ボクサーパンツを押し上げ窮屈そうにしているそこをそんな風にじっと見られるなんて、羞恥心しかない。
「乳首だけでこんなに。もう先っぽ濡れてる」
「や…だっ、もう見るなッ」
紫音が下着の上から指で先端を撫で回す。
俺の顔はこれ以上ないくらい火照っていて、もう羞恥心を煽るのはやめて欲しいと思ってる筈なのに、相手が紫音だったらそれすら快感に変わってしまう。そんな俺は変態なのだろうか。でも、それなら俺をそうさせてる紫音だって、立派な変態だ。
紫音の手が下着のゴムを下げようとしたのをまた手で制する。
「紫音も、下脱げよ」
「はいはい」
揃って下着を脱ぎ去ると、またフローリングに倒されて軽くキスをされた後はまた乳首を舌と唇、指で責められる。てっきり下を触って貰えると思っていたのに。
「紫音っ…も、そこばっか、や…」
「ここでイってよ、春」
紫音はズルい。こんな時に普段呼ばない名前を呼ぶなんて。
「ん…ぁぁっ…も、だめ…だめ…ッ」
そこに殆ど触れられもせずに間接的な刺激だけで絶頂に登り詰めた。
果てる直前に紫音の唇が俺のそれに重なって、熱く絡み合う。中心からは熱い物を吐き出し、甘いキスも合間って恍惚とする。
「気持ちよかった?」
「ん………すごく」
鼻先が触れ合う距離で紫音と見つめ合う。
「乳首だけでイけるなんて、ハル先輩の身体、敏感で凄くえっち。もう、俺大好きすぎる」
ぎゅっと紫音に抱き締められる。これが初めてではないが、確かに乳首だけで絶頂してしまうなんてどれだけ快感に弱いのかと自分でも思う。でも、他ならぬ紫音にされてそうなるならいいのだ。紫音がこんな俺の身体を好きと言ってくれて、こんなに嬉しそうにしてくれるのだから、変態でも敏感すぎても、いい。
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