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My dear… 12

乱れていたハル先輩の呼吸が少し落ち着いてきたので、互いの胸にまで飛んだハル先輩の白濁を指で掬い取った。その様をぼんやり眺める無防備な碧色にゆっくりと写してやって、もう片方の手で両足を開かせて少し抱えあげた。 まだ固く窄まっている後孔に、先程絡め取った粘液を丁寧に塗った。 「紫音…」 ハル先輩の不安そうな声。それにすら煽られるが、あんまり意地悪ばかりもできない。ハル先輩は、淡々とセックスを進められるのは好きじゃない…というか怖い様だ。 黙って事を進めてしまったので、自分の意思とは無関係に好き勝手された記憶が蘇ったのかもしれない。飴玉の様に艶めくアップルグリーンの瞳を不安そうに揺らしている。絶頂の余韻か薄く張った涙の膜を、美味しそうな瑞々しい瞳ごと舐めてしまいたくなる。 俺は、結構な支配欲や嗜虐心を持った人間だと思う。ハル先輩を本気で怖がらせたくはないが、様々な感情に揺れる瞳を見るのが好きだ。 「大丈夫。痛くしないから」 元々入れるための場所じゃないそこは、1ヶ月も間が空けば、そこに自分の怒張が入るなんて考えられない程小さく硬くなっている。極力痛みを感じなくても済むよう、指で円を描くように優しく入り口の回りをマッサージする。 「少し柔らかくなってきました」 「くすぐったい…」 ハル先輩の身体は、その身に快楽を覚え込まされていて、非常に敏感で従順だ。入り口を撫でているだけなのに、その孔は物欲しそうにひくひくと蠢き出して、先程吐き出したばかりの前も、再び形を作り初めている。 心は純潔でも、身体は正反対に淫らで、そのギャップは男を――俺を溺れさせる。一日中ハル先輩とのセックスに耽りたいと思うくらいハル先輩の全てに夢中なのだ。 大分柔らかくなった孔に指を侵入させると、淫らなそこはパックリと人差し指を咥え込んだ。 温かな粘膜に包み込まれ、早くそこに自分の物を納めたいと気持ちが逸る。 「痛くない?」 「…うん」 「気持ちいい?」 「………ん…」 「気持ちいい?」の後には潤んだ瞳で一睨み。でも、目線を逸らして素直に頷いてくれた。気持ちいい事なんて、ハル先輩の完全に勃ち上がったそこを見れば一目瞭然だが、敢えて本人の口から聞きたいのは男の性だ。恥じらう姿というのは、どうしてこうも情欲を煽るのか。 「入れますよ」 足を抱えあげると、ハル先輩が上気した顔で頷く。指3本でしっかり広げたので、切れたりはしないだろう。正常位のままゆっくり腰を進めた。 「い…っ」 「大丈夫?」 「だいじょーぶ。そのまま…」 言われた通りに腰を進めれば、亀頭の張った部分が入る時と、指では届かない奥に到達した時の計2回、ハル先輩の顔はしかめられた。 初めに入れるときに痛みが伴うのは仕方ない事の様だ。指だけで馴らすのには、どうしても限界がある。たぶん、太さの異なる拡張用のディルドなんかがあればもっと丁寧に馴らしてあげられると思うのだが、大人のオモチャの類いを使うのは抵抗があった。 ハル先輩を救い出した日、ハル先輩に施されていた凌辱を嫌でも思い出すからだ。 でも、そうも言っていられないのかもしれない。最低でも週に1回セックスできていれば、ここまでハル先輩に痛い思いをさせなくて済むが、シーズン中は隔週で地方に出向かなければならないため、毎週会うことはたぶん難しいから。 だからこそ。こうして会えた日は、どうしても自分の欲求を我慢できなくなる。 自分は明日が休みでも、ハル先輩は仕事があるのだ。だからあんまり無理をさせてはいけない。そう頭では分かっているのに―――。 「ハル先輩、もう1回いい?」 ハル先輩の中に1度目の白濁を注いだ直後。 ほぼ同時に達したハル先輩の艶っぽい声やら、仰け反る首筋やらの気怠い色香に惑わされた俺の「それ」は、抜かずして質量を増してしまった。 「え…俺もう出ない…っ」 そう言いながらもそのまま腰を揺らせばハル先輩の物だって徐々に形を変える。 「可愛い」 生粋のアジア人とは違って綺麗なピンク色をした健気なそこが愛らしい。 後で口に含んであげようか。 ハル先輩は、また無理とかダメとか言うのだろうけど、最後には瞳を潤ませながらも最高にいやらしく乱れて白濁を飛ばすのだろう。 ほら、今だってもう絶頂が近い。 「あ…ん…っ…紫音…も、むり…ぃッ」 「大丈夫。まだ2回目ですよ?」 あ、ハル先輩にとっては3回目か? 「やっ…あぁぁッ」 絶頂と同時にポロリと零れた涙を舌で掬い取ると、それは想像通り甘く、それが流れてきた道を辿るように目元まで舌を這わせた。反射的に伏せられた瞼に邪魔をされて瞳を味わうことは出来なかったが、たぶんそれも想像通りの味だろう。 俺にとってはハル先輩を織り成す全てが甘美だ。零れる涙や、紡がれる吐息ひとつを取ってみても、砂糖菓子の様に甘い媚薬の様。 二人で甘美な快感に浸って明かす夜は、どんな日よりも特別で、何にも代えがたい。 ハル先輩。 もう言わなくても知ってるだろうけど、俺は貴方が大好きです。 自分でも呆れるくらいのこの強い想いは、貴方を困らせる事もあるかもしれない。 でも、これだけは忘れないで。 俺は世界で一番貴方が好きで、貴方が大切です。貴方がいてくれれば、他に何も要らないくらい。 貴方が、こんな俺を受け入れてくれている事に、いつも幸福を感じています。 これまでも、これからも、俺の可愛い人は、貴方だけ。 愛しています。

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