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be violated 6
ヴーヴーヴー…
「ハルの?」
そう問われてようやく低く響く音の正体に気づいた。床の上に無造作に置いてあった俺の携帯が震動して、ランプが点滅している。
「誰かなー?」
柚季の手がそれを掴み取って、パチッと画面が開かれた音がした。
「誰だと思う?」
「返、せっ!」
首を捩って後ろにいる柚季を睨もうとした時、柚季が俺の耳に携帯をあてた。
『もしもし?ハル先輩?』
携帯から聞こえてきたその声を聞いて、一瞬で背筋が凍りついた。
早く通話を切らないと…!それなのに―――。
「ッん…っっ!!」
柚季が腰を打ち付けて、漏れそうになる声を留める為に口を塞いだ。
『ハル先輩?』
「聞かせてやれよ、ハルのいい声」
「っ……!!」
『誰かいるの?ハル先輩!?』
いくら何でも酷い。あんまりだ。
携帯を取ろうとする度に腰を使われて、声を留めるだけで精一杯。それでも、必死に携帯を奪おうとしたら、携帯は俺の耳から離れていった。
ほっとしたのも束の間、紫音の心配そうで少し焦っている声が部屋に響いて、また背筋が凍った。通話をスピーカーに切り換えられたのだ。
そんな状態で声をあげる事は出来なくて、もうやめろと視線で訴えるが、柚季は楽しそうに口を歪めて容赦なく腰を打ち付けた。
『ハル先輩?ハル先輩!?大丈夫?何かあった!?』
紫音…紫音…!!
「よー紫音」
「!!!」
もう無我夢中で暴れた。その拍子に携帯ゴトンと床に落ちた音がしたが、通話は切れていない。紫音が『どうしたの!?』と何度も叫んでいる。
「大人しくしてろよ!」
「ッ……!」
柚季の下から這い出そうと必死に床を蹴り、柚季の身体を退かそうとするのだが、俺の身体は完全に俯せに押さえつけられ、上から叩きつける様に中を抉られた。下半身から、全身から力が抜けて、それどころか「あ」とか「う」とかいう呻き声が出てしまって、また慌てて口を押さえた。
『ハル先輩!!ハル先輩!!おいそこにいるの誰だ!!』
「もう忘れたのか?」
『誰だよてめえ!!』
「こないだ会ったじゃん、パーティーで。あ、そう言えば大丈夫だった?新井田社長に喰われてない?」
『…!お前あの時の!』
「思い出してくれた?あん時はアドバイスどーもな。でも俺は好きじゃない男とも平気で寝る女でも別にいーんだよな。…まあ、ハルは女じゃないんだけど」
『ハル…って!てめえそこで何してんだ!!』
「知りたい?」
「やめ、ろっ!」
『ハル先輩!!』
「俺達なあ、気持ちいい事してんの。すごーく気持ちいい事。ハルの身体って、何回抱いても飽きねえよな」
『ッ!!てめえ!!!』
「って訳で、ハルはお前の思ってる様な純粋で清純な奴じゃなくてビッチでインランだから、俺が貰ってやるよ」
『っざけんな!!!ハル先輩、今行くから!!』
「しお、ん…っ」
『ハルせんぱ…』
そこで紫音の声は途切れた。柚季が通話を切ったのだ。
「こんな場面でイチャイチャしてんじゃねえよ」
「っあ…ッ」
「ここをもっと突けばよかったなあ。今の声、紫音に聞かしてやりたかった」
「ッく…!」
「今度は中イキさせたかったんだけど、俺さっきの電話でコーフンしたみたい。もうイきそ。ごめんなー。でも、いつも早漏な訳じゃねえから許してよ」
腰を持ち上げられて尻だけ高く上げられると、柚季の手が俺の前に伸びた。また手でイかせるつもりなんだ。嫌だ。イかされたくない。
「おい抵抗すんなって」
「イヤだっ!触るな、ぁ!」
「はは。気持ちよくなるのに罪悪感あるって?今回イかなくたって、お前が俺とセックスして何回も気持ちよくなった事実は変わんねえだろ。お前がインランだって事も、変わんねえんだから、さっさと紫音に真実を知って貰え。振られたら俺が慰めてやるから」
嫌だ。嫌だ。胸が張り裂けそう。
気持ちよくなんかなりたくないのに、俺は結局柚季の手でイかされて、身体の奥深くに柚季の欲望を受け止めた。
もう何が嫌なのかわからない。
こんなに酷いことをする柚季が嫌なのか、こんなに酷いことをされているのに気持ちよくなる自分が嫌なのか。
「紫音って熱血漢っぽいし、俺の顔見るなり殴りかかってきそうだよな。俺、顔は一応商売道具だから殴られたら困るんだよな。って訳で帰るわ。あ、鍵貰ってくから」
柚季は俺の身体を適当に拭きながらそんな事を言っていた。
柚季が帰ってからも30分くらいは呆然としていたけど、そのまま床に転がっている訳にもいかず、浴室に向かった。
もうどういう順番で、どこをどんな風に洗ったのかも覚えていないが、多分いつもと同じ様にしたのだろう。もしかしたら、同じ所を何度も洗ってしまったかもしれない。分からない。頭が働かない。思考ができない。
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