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第2話

 それからも季節は何度も巡っていった。  誰の上にも平等に時間は過ぎていく。  そんな中、僕は何度も君の姿を見かけた。何度も君の声を聞いた。  例えば、共通の友人が開く飲み会で。  例えば、君とすれ違う会社のオフィスで。  もちろん二人きりじゃないから、君と交わすのは不自然じゃない程度の当たり障りのない会話が少し。  僕たちは、周りに秘密にしながらずっと付き合っていたから。  だから、少し親しい友人としての会話には、悲しいくらいに慣れていた。  みんなに囲まれて楽しそうに笑う君を、僕はちらりと盗み見る。    それでも付き合っていた時には、君と目が合って笑いあったりしたのだ。時には居酒屋のテーブルの下で、思わせぶりに手を触れ合わせた事もあった。二人でタイミングを少しずらして、トイレに行った事もあった。すれ違いざまに、愛の言葉をこっそりと耳打ちされた事もあった。  誰にも気付かれなかったそれらが全て、誰にも気付かれずにひっそりと無くなっただけだ。  君の幸せに、喜びと苦しさが僕に残っただけだった。  それから何度も、冬に涙して、春に落ち込む月日を僕は一人で過ごした。    君は次第に、友人の飲み会に顔を出さなくなっていった。

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