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お勉強しましょ!
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「・・・・ふぅ・・・」
パスタを口に運んでいたアリーシャが小さな溜息をついた。
場所はリビング、今日は八雲とフィオナが仕事でアリーシャとレオンが休みなので2人で簡単な昼食の最中だった。
「不味かった?」
それに気付いてレオンが素早く対応する。簡単とは言えレオンが作ったのは味も見た目もその辺りのレストランに引けは取らない。
「あ!ごめん。そうじゃないんだ」
美味しいよ、とアリーシャは微笑むが直ぐに目を逸らしてしまう。
「何か問題か?」
レオンが直球の質問を投げかける。
仕事のミスや問題ならアリーシャは即座に対応したりレオンに助言を求めたりするだろう。レオンのセクハラが問題なら正拳突きで即対応だ。
だからこそこんなに歯切れの悪いアリーシャは珍しいのだ。
アリーシャは質問には答えずに唇を噛んで黙ってしまう。
「あ、悪い。無理に答えなくても良いんだ。ただ話した方が楽になるかと思ったから」
普段は饒舌 なレオンもアリーシャに対しては例外である。
悔しいがこういう時は八雲の方がアリーシャの心を解きほぐしてくれる。
「ううん、レオンに話したい事が・・・・レオンじゃ無ければ話せない事なんだ」
意を決したようにアリーシャが話すが、それ以上はまた黙り込んでしまった。
これにはレオンも驚いた様で口を閉ざす。
いったい自分にしか話せない事とは何なのか。味のしなくなった昼食を飲み込み続きを待ったがアリーシャが話し出す気配は無かった。
お互い黙ったまま食事を終え、レオンはシナモンミルクティーを煎れる。
アリーシャをソファーに座らせしゃべり出すのを待った。
シナモンの柔らかい香りと甘いクリームを入れたミルクティーはアリーシャを少し落ち着けたようだ。
目を閉じカップを両手で包み込む。その様子をレオンも固唾を飲んで見守る。
自分に話したい事とは何か、四方 や別れ話だろうか。5年後の約束を待たずに自分よりも八雲と一緒にいたいと決めたのか。
そうだとしたらどうやって妨害しようか、思案を巡らせる。
「あの…………ね………」
小さな口が開く。カップを強く握り過ぎている所為で指先は真っ白だ。並々ならぬその様子にレオンも動揺を隠せない、落ち着ける為に紅茶を一口啜る。
「…僕にフェラを教えて欲しいんだ!」
「ぶはっ!!」
降って湧いたような言葉にレオンは飲みかけていた紅茶を吐き出してしまう。この時綺麗な虹が出来た事をレオンは後々まで覚えていたとかいないとか。
「…はい?」
珍しくレオンの頭が回転しない。アリーシャが一気にまくし立てた言葉だ、何か聞き間違いをしただろうか。それとも自分は夢を見ているのだろうか、夢など滅多に見ないのに。
アリーシャの顔を覗き込むと真っ赤になって目尻には涙が溜まっている。嘘やレオンをからかっているようには見えない。
「フェラって…………しゃぶるって事だよな?」
恐る恐る尋ねるとアリーシャは黙ったまま頷く。聞き間違いや勘違いでは無い、意志疎通は出来ている。
「何でまた急に」
いやらしい事には人一倍恥ずかしがりで清廉潔白を努めるアリーシャから零れたお願いにしては余りに突然すぎる。レオンとしては全然オッケーなのだが矢張理由は知りたい。
「あの……ね……昨日、八雲としてたんだけど…………」
何を、と聞くのは無粋だろう。八雲と二人きりにさせたくなくて謀略 を巡らせているがそれでも隙間の様にアリーシャと一緒になる日程がどうしても出来てしまう。あの男としては幸いと自室かベッドルームに招き入れたのだろう。後は言わずもがな、大人しくおしゃべりやチェスに興じる訳も無く自分の欲情をアリーシャに押し付けたのだろう。
(アリーシャ、ポチに甘いからな)
同じように押し倒している筈なのに抵抗されて殴られる回数は圧倒的にレオンの方が多い気がする。
子供の様に拗 ねながらも沈黙で先を促す。
「それでね…………その…………をしてたんだけど」
今にも消え入りそうな声で話している所為で淫靡 な言葉が聞き取れない。さっきの様に幼い口からいやらしい単語が漏れるのを期待して言い直して貰いたい欲望をどうにか押さえる。そんな事をさせたら恥ずかしさで此処から逃げ出されてしまうかもしれない。折角自分を頼って来てくれたのに、大事な獲物を逃す程愚かではないと自分に言い聞かせる。
聞き取れた部分を繋げて何とか全体像を広げる。
矢張昨日は行為に及んだ様だ。その中でフェラもしていたようだ、けれどアリーシャの小さな口に八雲の滾 らせた欲望は大きすぎた。咥えるのも大変な性器を懸命に処理していたが震えが顎にまで伝わってしまったらしい。
「それで…………。思い切り噛んじゃって…」
最後の言葉を聞いて背筋が一気に冷たくなる。大好きな相手とは言え股間にデストロイは流石に男として大事なモノを失ってしまう、精神的にも物理的にも。
「それは…何と言う、か」
御愁傷様 と言うか、ざまあ見ろと言うか。
結局その日は八雲のダメージが大きすぎて中断してしまったらしい。
「それはラッキー…とと。でも何でオレに?」
思わず漏れた本音を誤魔化す。
「だって……レオン…………すごく上手いから」
浮き名は多いレオンだが男性と付き合った事は無い、それなのにベッドの上ではいつも翻弄されて気を失う位たっぷり愛されて食べ尽くされてしまう。
「ま、好きなものこそ上手なれって言うしね」
飄々 と答えるレオンをアリーシャは不思議そうに見上げる。矢張りああいう事するのが好きだから色々と知っているのか。
妙に納得しているとレオンに軽く頬をつねられた。
「じゃなくて。アリーシャの事が大好きだから上手なんだよ」
「えぅっ!?」
突然好きと言われてアリーシャが顔を赤くして慌てる。何度愛を囁かれても慣れない小さな恋人は困ったように視線をあっちへこっちへと世話しなく泳がせている。
そんな姿さえ愛おしくてレオンは喉の奥で笑う。欲望の導火線に火を灯すには十分過ぎた。
極自然な手つきでアリーシャを抱き締めると簡単に抱き上げてしまう。
「大丈夫、全部教えてあげるから」
耳元に唇を押し付けてレオンが囁くとアリーシャがビクリと身体を震わせる。今更ながらとんでもないお願いをしてしまったと思っても身体は既にレオンの腕に囚われて逃げ出せない。
レオンのシャツを掴む手が震えているのが自分でも分かったが覚悟を決めるより他は無さそうだった。
(ま、授業料は高くつくけどね)
そんなアリーシャの心の葛藤さえ楽しくて揚々とレオンは階段を上がって行った。
ベッドルームの広いシーツの上に寝かされるとレオンは器用にアリーシャの服のボタンを外して行く。
「っ!なんで?」
慌てて引き剥がそうとする手を絡め取るとレオンは自分の頬に当ててニコニコと笑う。
「見た目も大事だから」
そう言われてもアリーシャにとってはそうなのか、としか思えない。いつもいっぱいいっぱいで衣装まで気が回らないからだ。
そもそも八雲やレオンが何を着ていても格好いいとは思うしドキドキもしてしまうけど興奮するかと言えば全くそんな事はない。だから見た目で相手を興奮させるという感覚はよく分からない。
普段から二人があれを着て欲しい、これを着てくれとお願いされても何でそんなに執着するのかが分からないのだ。
(二人がどんな格好だったら…)
よくおねだりされる水着やらメイド服やら矢鱈 破廉恥な下着やらを二人が着た姿を考えてもドキドキも興奮もしない。むしろ着てほしくない。
アリーシャの中でそんな姿になっているとは露知らず、レオンは楽しそうに服を脱がせて行った。
「ホントにこれ?」
いつの間にかアリーシャははだけたシャツと靴下だけの姿にされてしまっていた。
「凄く可愛いよ」
満足そうにレオンが笑う。
可愛いと思われるのも恥ずかしいし裸に近い心もと無さが羞恥心を炙ってシーツの中に隠れたい衝動を沸き上がらせる。
今からでも丁寧に謝って無かった事にした方が良いのでは無いか、俯きそう思案するアリーシャの顎を指で掴むとレオンが顔を上げさせる。
深紅の瞳はこの上なく楽しそうだ。
「それじゃあ、始めようか」
観念しなさい、そう言うように唇に軽いキスが落とされた。
「じゃあ出してみて」
ベッドにゆったりと座ったレオンが先を促 す。少しせっつかないと永遠に始まらなそうだ。
言われたアリーシャは顔を真っ赤にして伸ばした腕が隠すことも出来ない程震えている。
その姿はからかいたくなる位可愛いのだが下手に愛撫なんてしたら子ウサギみたいにベッドから跳んで行ってしまいそうだ。構いたくなる手を押さえているとぎこちない手がチャックを下ろして下着の中をまさぐってくる。
(あ、ヤバっ…)
考えてみればアリーシャが自分から触ってくる事など今まで無かった。大好きな恋人にボディタッチをされて体が反応しない訳もないが、だからと言って爆発寸前のモノを御披露目する訳にもいかない。それでは練習にならない。
頭の中でシュレーディガーの法則を諳 じながら何とか冷静さを保つ。
(うぅ…おっきい)
一方のアリーシャは自ら引き摺り出したモノに目眩を起こしそうになっていた。
時折行為の最中に握らされたり咥えさせられたりしていたがいつも判断が付かない位翻弄されていたので冷静な状態でしっかりと見る事は今までほぼ無かった。
細身の体に合わないレオンのモノはこちらが生命の危機を感じるくらい大きい。
おかげで恥ずかしいのにどうしても目が話せなくなってしまった。
「視姦してる?」
からかわれるようにそう言われて慌てて首を振る。恥ずかしくて俯くと顎に指を絡まされてまた視線を持ち上げられてしまう。
どこまでも楽しそうな深紅の瞳は目を逸らしたいのに離す事が出来ない。
「まずは咥えないで弄 んで。焦らしてよ、オレの事。とことん」
唇が触れるくらい近い耳元でそう囁かれて身体中の血が沸騰してしまうのではと思うほど熱くなる。
(焦らすって………)
何をどうすれば良いのか皆目検討も付かない。今まで頭にいれた知識も経験も今は何の役にも立ってくれない。
それでも震えを押さえて両手でレオンの性器を包み込むとゆっくりと扱く。
「かわいい」
まるで赤ちゃんに言うような声音でそう言われると身体が固くなってしまう。腹立たしいけれどこの位でレオンが満足する訳が無いことも分かっていた。熱で魘 された頭で普段八雲やレオンが自分にしてくれている事を必死で思い出す。
二人とも焦らしたりなんかしないで直ぐ咥えて舌を絡ませて強く吸って。
(だっ……ダメ………)
余計な事まで思い返したせいで身体に痺れのような刺激が走ってしまう。簡単に反応してしまう自分がいけないのだがこの記憶はあまり参考にならない。
だからと言って手で遊んでいるだけではこれ以上の進展は期待出来ない。
(手以外で咥えずに他に出来ること…)
酷く困惑した表情を浮かべていたのだろう。レオンが苦笑いする。
「何でもオレの身体好きに使っていいんだよ?」
そう言われても目の前にあるのは大切なモノなのだから無茶は出来ない。そうこうしている内にほぼ裸の身体は益々熱くなってくる。
考えなくてはいけないのに思考が熱で端からぶちぶち千切れていくような感覚に:陥(おちい)る。
いっそ羞恥心も引き千切ってしまいたい。
(あと出来る事って…)
恥ずかしいけれどもうこれしか思い浮かばない。体にまとわりつく恥ずかしさを切り捨てるように一度目を強く瞑るとベッドの上で跪いてレオンの下半身に顔を近づける。
恐々 と性器に口付けをするとレオンの体がビクリと揺れた。驚いて顔を上げると伏し目がちにレオンが笑う。
「それ、イイ」
レオンなら何をしても褒めてくれるのかもしれない、でもようやく導き出せた答えを気持ち良いと思って貰えてアリーシャの心も跳ねる。
羞恥で火照った頬が冷める事はないがそれでも夢中で何度もキスをした。
繰り返す度に千切れた思考がどろどろに溶けてもう何も考えられなくなる。それなのに身体はレオンの性器を音を立てて啄んだり小さく舌を這わせて舐めたり時折顎を掴まれてレオンがねだるままキスをしたりと先程までの躊躇 いが嘘のように淀みなく動く。
舌を絡ませ合いながら口付けをしている間も手はずっと性器に触れていた。
いつの間にか溢れた液体でアリーシャの手が汚れても擦り続けていると頭の中がふわふわとしてくる。
「やばっ…!」
突然背骨が軋むくらいレオンに強く抱き締められた。不思議そうに覗き込むとほんの少しだけレオンの頬に紅が差した気がした。
「あー…。もっとラブラブしてたかったけどなー。限界!」
レオンとしても本音を言えば押し倒して襲いかかりたい衝動でうずうずしていた。冷静さなんてとっくに焼き切れていた。それでも懸命なアリーシャを見て何とか気持ちを押さえる。
「咥えて」
頬に軽く口付けしてそうおねだりする。吐息が熱くなっているのが自分でも分かった。
アリーシャの方もとろんとした瞳で頷く。
恥ずかしさが無くなった訳ではない。でももう逃げ出したい気持ちは無くなっていた。
濡れた先端を口に含むとそのまま押し込む。口の中全てがレオンのモノで満たされてもまだ余る程に大きい。付け根の部分に顔を近付けるようにして喉奥が支配されても飲み込もうとする。
「くっ…………ぷ……………」
「ストップ!!」
嘔吐 いて身体が震えた瞬間に両肩を掴まれて引き離された。
驚いてレオンの方を見ると此方も驚いた顔をしている。
「何でそんな無茶するの?」
問われてもアリーシャは首を傾げるばかりだ。こうでもしないとレオンのは大きいから全部は咥えられない。
それにフェラとはこう言うものでは無いのか。イヴが自分にしてきた事を思い出す。
無理やり顎を掴まれて口を開かされて押し込められる。どんなに苦しくて暴れても離して貰えず髪を掴まれて激しく揺さぶられて酸欠で死ぬ間際の獣のようにひくついた身体の奥に精液を流し込む。
ずっとそうさせられてきたから、それが普通だと思っていたのだが。
「いや、それ全然一般的じゃないから!」
レオンにそう説明すると思い切り首を横に振られてしまった。その顔は怒っているような拗ねているような表情をしている。でもアリーシャにはレオンか何で怒っているのか分からない。
(イラマチ男め…!)
心の中で悪態を吐いているのに気づかないアリーシャはもう一度首を傾げる。
「レオンもその方が気持ちいい?」
おおよそ自分のフェラが上手いと言う自覚は無い。「下手くそだね」困った様に笑いながらイヴはそう言ってアリーシャの頭を掴むとよく更に押し込んでいた。だからせめて苦しくても出来る事で気持ち良くなって欲しい。
「確かにそうだけど…」
珍しくレオンが渋い顔をしている。
「でもアリーシャが苦しい思いしてまで気持ち良くなりたくはないよ」
幼い子に言い聞かせるみたいにレオンがゆっくりと話す。
「大丈夫、ちゃんと教えてあげるし。それに…」
汗で張り付いた前髪をレオンが指先ではらってくれる。
「好きな子がしゃぶってくれるってだけで男は舞い上がっちゃうモノなんだよ?」
真っ直ぐにそう言われると恥ずかしくて目を反らしてしまう。
「僕も男だよ……」
消え入りそうな声で訴えると今までの事を思い出す。
八雲やレオンにしゃぶられて泣き叫んで懇願しても止まらないくらい何時も激しくて、でもそれはきっと二人だからなのだと思う。イヴや他の男がしても絶対にあんな乱れ方はしない。
そう思うとレオンの言葉が少しだけ理解出来た。
「がんばる…」
レオンの胸に頭を預けてそう呟くと優しく背中を撫でられた。
「ん………」
気を取り直してもう一度咥える。喉奥を使わないで咥えられる量なんて知れていたけどそれでも懸命に口に含んだ。
「舌使って。絡めたりつっついたりして……」
言葉で示しながらゆっくりとアリーシャの手を掴むとレオンは自分の根本へ誘導する。
「吸って……」
指先で付け根の部分を揉みながら言われるまま唾液と先走りの液体が混じった物を飲み込む。
繰り返し舌を絡めて吸い付いて時折啄んで、独特の律動を刻んでいくとまた何も考えられなくなっていく。唾液が顎を伝って落ちてもそれが自然の事のように感じられた。
「舌見せながら舐めて」
普段なら恥ずかしくて怒ってしまいそうなレオンのおねだりにも芒洋 とした瞳で答えてしまう。
(生きててよかった………)
泣きそうになるレオンに気付かずアリーシャは子猫がじゃれるみたいにまたおしゃぶりを始める。
いつの間にか咥えた先端も手の中にある部分もビクビクと震えだしていた。
「出すけど…………全部………飲まなくても…………くっ」
突如訪れた瞬間に頭が真っ白になる。永遠で無い事は分かっていたけれど何だかこの行為がずっと続くような気がしていたからだ。
レオンらしくない言い淀 んだ途切れ途切れの言葉を聞き終わらない内に白濁の液体が身体の中に注がれる。
飲み込んでも終わらない射精にほとんどがアリーシャの肌やシーツを汚して落ちて行った。
「けぷ……………っ」
反射的に口の中にある精液を吐き出してしまうとレオンの手が受け止めてくれた。
「よくできました」
優しく抱き寄せるとレオンは指先で太股に悪戯っぽく花丸を描く。抱き合ってるせいで二人とも精液で汚れてしまった。それでも充足感が身体を満たしていた。
レオンに教わりながらでもちゃんと満足させられたのだ。
「何してんだ」
レオンのシャツを掴んだ瞬間に不機嫌な声が室内に響いた。
見るとドアの所に八雲が怒ったような表情で立っている。
いや実際に怒っているのだろう大股で歩み寄るとレオンの胸ぐらをいきなり掴む。
けれどレオンの方はまるで気にしておらずからかうような笑みを浮かべる。
「アリちゃんにお兄ちゃんのみるく飲みたいっておねだりされちゃって」
それを聞いたアリーシャは頭が真っ白になる。お願いはしたがおねだりした覚えはない。慌てて首を振るが尚もレオンは続ける。
「さっきまで美味しそうにちゅぱちゅぱしてたもんね。はぁ……可愛かった」
嘘は言っていないのだが言い方というものがある。炙られた羞恥心が限界を迎えてアリーシャは頭を抱えて蹲 ってしまう。
「都合の良い妄想並べてんじゃねーよ」
勿論八雲には嘘だと思われたらしくアリーシャを無理やり連れ込んで行為に及んだような言い方だ。こうなるとレオンも嫌味の一つを言いたくなる。
「自分だって無理やりして天罰喰らってんじゃん」
笑いながら八雲の股間を指差すと相手は不貞腐れたような顔をしてアリーシャの方を見る。
「しゃべったのかよ」
「ごめんなさい。あのね……………」
腕の間から顔を覗かせてどうにかこれまでの経緯を説明する。お陰で途中何度か恥ずかしさで卒倒しそうになってしまった。改めて思い返すととんでもない事をしていたような気がする。
「昨日はホントにごめんね」
「いや、俺も無茶させた。悪い」
バツが悪そうに頭を掻くがそれでも機嫌が治ったようには見えない。
「だからってこいつに頼まなくてもいいだろ」
思い切り不機嫌な顔でレオンを指差す。自分のために練習しようとするのは健気で可愛いのだがよりによってライバルに頼むとは。腹立たしさといじらしさがまぜこぜになって消化不良を起こしそうだ。
「ポチじゃ下手すぎて授業 にならないでしょ?」
こちらもライバルの痴話喧嘩など見たくないと言った感じで欠伸を噛み殺しながら答える。
一触即発の雰囲気にいつもならアリーシャが怒って止めるのだが今日は熱でもあるみたいにぼんやりとそれを眺めている。
不意にアリーシャが八雲の裾を掴んだ。
「あの…ね。がんばるから……」
恥ずかしそうに俯きながらもアリーシャが続ける。
「だから、しても………いい?」
一度壊れた理性は中々戻らないのだろう、自分が大胆な事をしているのに気づかないでお願いをしてしまう。
八雲の方もこれには驚きを隠せない。とは言え熱っぽい目で見つめられてそんなおねだりをされては我慢出来る恋人など何処にもいない。
唾液を飲み込むと自ら性器を取り出してアリーシャの頬に押し付ける。
「みゅっ………」
その熱と固さにアリーシャが小さく悲鳴をあげたが直ぐに前戯を始める。
大人びていても矢張り年相応の所はあるのだろう、上手く行って褒められると直ぐ次に取り掛かってしまう。
けれどキスをしてみても舌を這わせてみても八雲はレオンみたいに褒めたり頭を撫でてはくれない。それどころか何処か渋い顔をしている。
「からかってるのか?」
「違っ………………………ごめんなさい」
しょんぼりとするアリーシャに慌てて八雲が首を振る。
「悪い。責めてる訳じゃ…………」
「ポチって本当に堪え性の無い駄犬だよねー」
レオンが呆れて言葉を漏らすがアリーシャにはその意味が分からない。
八雲の性器はレオンのと違って既に熱り立っていて太くなっている。昨日の続きがしたくて飛ぶように帰って来たのだから当然とも言える。
でもそんな事を知らないアリーシャは首を傾げる。こう言う場合どうしたら良いのか。
ほんの少しの沈黙から先に痺れを切らしたのは八雲だ。
「咥えてくれないか」
頭を掻き毟 りながら八雲が声を絞り出す。からかわれて腹立たしかったがじゃれ合いをしている程余裕もない。
(ポチのおねだり気持ち悪い…)
レオンの白けた視線を振り払ってアリーシャの頬に手を置く。
アリーシャとしてはまだ全然焦らしたつもりはないのだが、八雲が望んでいるならした方が良いのだろうか。
困って助けを求めるように後ろを振り返るがレオンの方はのんびりとアリーシャのシャツを払うと潤滑剤をお尻に垂らして行く。
「レオン!?」
非難めいた声を上げてもレオンは何処吹く風だ。
「レベル上げてみようか?お尻弄 られながらポチをイかしてみて」
一足飛びに高難易度へと上がってしまった水準に首を振って抵抗するがレオンは止めてくれない。
「ほらほらポチが生殺しで死にかかってるよ?」
言われて見ると言葉通り八雲が苦しそうに息を吐いていた。
「するなら…ちゃんとしろよ」
思わず責めるような口調になってしまう。それでもアリーシャは萎 れながら咥えたので口から呻きが漏れそうになってしまう。
一方のアリーシャは先程と違って後孔をレオンに弄られていているせいで気もそぞろだ。
懸命に思いだしながら舌を這わせようとしてもわざと水音を立てられたり感じる部分を指の腹で押されたりするので思うように動かせない。
「んんっ……!」
後孔の入り口に指とは違う熱くて太いモノがあたると咥えていた口から悲鳴が溢れる。
「レオン!それ………やだっ」
嫌がって腰を引いても今は誘っているようにしか見えない。逃げる事も出来ずにレオンにしっかりとお尻を押さえられてしまった。
「さっきの授業料貰うね」
楽しそうにそう告げられるとアリーシャは大きな目を更に開いて首を振る。只でさえいっぱいいっぱいなのにこれ以上されたら何も出来なくなってしまう。
「それとも用が済んだらオレの事はポイ?身体だけが目当てだった?」
何だか酷く極悪非道に仕立て上げられてしまった。
レオンには感謝しているしちゃんとお礼もしたかった、出来れば身体以外の方法で。
「だからこいつに頼みごとなんてするなって……」
八雲が呆れて小言を言っている間にレオンが刺し貫いてしまう。
熱い肉塊に内側を抉られて声にならない悲鳴が上がる。
「それにアリーシャも……」
満足そうに笑いながら幼い性器に手を掛ける。既にそこは甘い蜜で溢れて簡単にレオンの手を濡らしていく。
「嘗めてて興奮しちゃった?それともこうなって欲しいって想像してた?」
緩く扱 かれながら恥ずかしい言葉を投げ掛けられて目尻に涙が浮かんでしまう。
途中から濡れ始めていたのは分かっていたけど気付かないふりをしていた。それは余りにもはしたなく思えたからだ。
「大丈夫。普通の事だよ」
泣きそうになるアリーシャを慰めるようにレオンが腰を優しく動かす。感じ始めていた身体はそれだけで悦ぶように反応して口から甘い声が溢れる。
「こっちはもう終わりか?」
八雲が顎を掴んで見つめる。情欲に囚われた姿は愛らしいが本音を言えば続きを期待していた。
深緑の瞳に炙られながらアリーシャは小さく首を振る。喘ぎ声を押さえる事が出来ずそれでも懸命にもう一度咥える。
「んっ………………んっ………………」
甘い疼きに支配されながら拙 い動きで舌を絡めてくる、それでも一心一意に奉仕しようとする姿はどうしようもなく欲望を掻き立てられる。
もっと一つになりたくて八雲がアリーシャの頭にそっと手を掛ける。
「ポチ、イラマチ禁止だよ?」
「分かってる」
そんな思いをさせてまで欲求を満たす積もりは無い。そう思っていても無意識に伸びていた手に驚きと僅かな恐ろしさを八雲は覚えていた。誤魔化すように頭を撫でるとアリーシャは目を細める。目の端に湛えていた雫が瞬間頬を伝って落ちた。
それでも苦しくて泣いているようでは無かった。
「アリちゃん気持ちイイ?」
そう問われても答えられない。口も後孔も熱を帯びた欲望に満たされて感情も思考も溺れて行く。なにも考えられない筈なのに壊れた玩具みたいに何度も頷いた。
「お口?それともお尻?」
分からない。そもそも気持ちが良いのかさえもう判断も付かない。それなのに身体は八雲の性器を夢中で咥えてレオン自身を奥で強く抱き締めて二人の愛情を貪 ろうとしている。浅ましいと思いながらももう歯止めは効かない。
「じゃあ、皆で気持ちよくなろっか?」
深い所を強く抉られて身体中の血管が甘く痺れて行く。
言葉通り八雲もレオンも欲望に翻弄 される身体を余すこと無く眺め呼吸を促すのと一緒に喘ぎ声を啄む。
いつの間にか伸びた二人の手が身体の至るところを愛撫してアリーシャは理性を完全に焼き切ってしまう。
もう身体の全て、脳さえも自由に動かせる場所なんて無い気がした。
「も………………ダメ……………」
哀願するようにそれだけ言葉を紡ぐ。
「いいよ。こっちのお口は全部飲んでくれそうだね」
「悪い……………………手……………離せな…………」
熱を帯びた二人の声に導かれるように快楽を追い求めたがそれも長くは続かなかった。
「んんーっ!んっっっ!んーーー!!」
身悶えしながら絶頂を迎えるとドロリとした飛沫が両の口に注がれる。
「あ…………ふぁ……………………」
放ったばかりの身体がビクビクと震えても尚二人はお腹の中や顔を汚して行った。
ようやく全てが終わると力尽きてシーツの上に倒れてしまう。労 うように頭を撫でられるとふわふわとした気持ちで満たされる。二人とも満足してくれたみたいでそれが凄く幸せな事なのだと感じた。
「アリーシャ」
それなのにレオンは何故かアリーシャの身体を抱えると後から抱き締める。
普通なら甘い雰囲気になるのだろうが何故かアリーシャは青ざめてしまう。腰にあたるレオンの性器は何故か熱く固くなっている。
訳が分からずに目を白黒させていると八雲に手を引かれ性器を握らされる、こちらも恐ろしく固くなっている。
(なんで……………?)
理解の範疇 を超えてしまい二人の顔を交互に見る。八雲が酷く真面目な顔で見返して来た。
「あんなん見せられて1~2回で終わると思うなよ」
思慮が追い付かない。二人を満足させたかっただけなのに何故焚き付けてしまう事になるのか。とは言えこれ以上は何もかもがもたない。身を捩 るように逃げ出そうとするが直ぐに捕まってベッドに押さえつけられてしまう。
「こーら。お勉強は復習が大事だよ」
そう言われてもあんなこと何度も出来る筈も無く激しく頭を振る。
八雲が宥 めるように頭を撫でて来るが全く落ち着かない。
「もーっと沢山教えてあげるから」
まるでご褒美みたいに言われるがアリーシャは青ざめる一方だ。
駄々をこねるみたいに手足をパタパタと動かしたが何の効果も無い。
「はいはい。アリちゃんごっくん苦手みたいだからそこ中心にしよっか?」
「どっちの咥えたいんだ?」
普段喧嘩ばかりなのにこう言う時だけは昔の縁談みたいに粛々 と決めていってしまって腹立たしい。
「どっちもヤだ。もう…離して!」
勿論そんな願いが聞き届けられる筈もなくアリーシャが気を失うまでお勉強は続いた。そのせいで殆どの事を覚えられなかったことは恐ろしくてしばらく口にだせなかった。
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