20 / 37

好きだけど離れよう

佐藤さんはその後、知り合い?の人に連れて行かれた。事実上内容が内容なだけ仕方ない解雇となった。バチが当たったんだ。と片山の一言……。 俺は片山と並び自室へ戻った。 部屋のドアの前で 「拓美、その……悪かった。ありがとうお休み」 「……イエ。俺こそ…すいません。おやすみなさい。」 でそれぞれ入って行く。 すっかり冷めたコーヒーに口づけた。 あれから1ヶ月、進展は? 前よりだいぶ笑いながらしゃべるようになった。 一緒にサウナに行ったり買い物したり……。 ただ最近わかった事……大食いだが、決まってトイレに直行。嘔吐の往復……。 だが胃下垂らしく太りにくい、体重的にはちょっと細い……ふらつき、熱だしが頻繁。俺は段々不安になるから目が離せない。 「先輩1度医者行って来たらどうですか?」 「う~んなんか行きたくないんだよなぁ」 (また、そんな事言ってる、AIDSだったらどうすんだよ!ハァ…。強制連行だな。) 今日は半休の日車に先輩担ぎ乗せる……シートベルトを付けるとムスッとしながらでも大人しくなった。 近くの大きな病院に連れて行く。 観念して診察室に入って行くが…… 良い大人が何と注射が嫌いと!ったくもォ~! 看護婦さんに呼ばられ、半泣きの片山を見てため息をつく。後ろから抱き締め腕を伸ばす。嫌だァ~!って俺の腕を噛みつく。看護婦さんがぷスッって差し血液を取ってから鉄分不足を点滴で補った。 やっと落ち着き払い、眠ってる間にタバコを吸いに喫煙所に向かう。 スッ~と血が流れたが…それほど片山には嫌なんだなぁ~と呑気にしてたら、先ほどの看護婦が消毒とガーゼ・包帯と手際よく処置してくれた。 一時間近くかかり点滴も終わり、診察室に入る片山。AIDSの心配はなかった……。良かった…ほっとする。 診断は大したことないと、嘔吐等は精神的な面だから大丈夫だと、ただ鉄分不足だからクスリを出された。 「だから大丈夫って言ってたじゃん!拓美のバカ・バカ・バ~カ!フンっ……」 片山は子供のようにムスッとしたまま車に行ってしまった。 か……可愛い~( ≧∀≦)ノ 俺は先生と看護婦さんに頭を下げ車に戻った。 ムスッとしたままの姿が可愛くてつい、唇を軽く重ねた。チュッ! 片山は横を向きシートを倒す。 軽くドライブする。海が見え車を止めた。 車から降りると片山も降りて来た。砂浜に降りて行くと不思議と手をつなぐ……片山は腕を見て 「嫌だったんだからな!自業自得なんだからな!痛かったんだ!……で……もごめん」 「……わかった・わかったって!」 砂浜に腰掛けると片山は頭を寄せた。 ちょうど日が沈むのを二人で黙ったまま眺めて行く。 「…………嫌な事言うけど俺、やっぱり先輩が好きです。厩舎変えようと……。」 「えっ……?どう…して?」 信じられないって顔をする。 「……正直、優馬さんの側に居ると……辛いよ。相変わらず自分を大事にしないし。 だから俺は外から優馬さんを応援して行こうって……。」 「…………嫌…だ。」 「先輩の側に居たら、佐藤さんと同じ事をしてしまう……から……でもまだまだの俺の実力では、少しでも俺は先輩に近づきたい。認めてもらいたい、だから……んッ」 片山からのキスを受ける。優しく抱き締める……でも流される訳には行かない唇を離し 「………来月に長谷川先生の所に行く予定だよ。だから……優馬さん頼むからもォ無茶しないで……助けられない」 膝を抱える片山……。愛してるけど今は言えない!技術もない。 俺は片山の腕を引き立たせて砂を払ってやるとポツリポツリと……何か言ってる 片山の手を握りしめ車に乗せ厩舎に戻った。 テキが俺を引き留める。 長谷川テキと何故か娘さん?後ろからからトボトボ歩く片山の姿に 「優馬ちょうど良かった。拓美を移転して欲しいとの申し出なんだが……んっ?どうした優馬?」 何も言わず娘さんとテキを睨み走って部屋に戻った。 俺はテキに話した事を伝えたら困ったなァと頭を掻く。 俺は目標達成するまで、リーディングに乗るまでは戻らないとテキに話し短期移転の申し出を受け入れた。 またまたすれ違いと共にレースではまだまだ上位に行けないまま、移転した。 片山は口下手な元に戻ってしまった。

ともだちにシェアしよう!