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新しい命

北海道……5月 新しい競馬場で馴れた頃、俺は妹の挙式に東京に出て来た。 無事終わり幸せ一杯の笑顔。 両親の写真も席に置く。両親の花束贈呈は俺とふみさんが変わりに受け取る。 最後にお客様を見送ると妹は倒れてしまった。 俺は不安一杯だが、義弟に大丈夫と言われ北海道に戻った。何も手に付かない またスランプに落ちた。 側に支えてくれる片山は居ない。 競馬どころか引きこもる毎日……。妹が入院して3ヶ月何も連絡がない。義弟に連絡するが大丈夫の一方通行、大丈夫なら妹を出して欲しいと告げるが……。頑張って下さいってしか言わない。 片山からも電話がない。 (こんなに俺って女々しいかったのか…。) どれくらいたったのだろうか?電話が入る。片山?何も言わないが取ると 『拓美?今晩○○○に待ち合わせだぞ』 一方通行に言われたが、時間的に余裕がない。 取り合えずテキに話すと期待してないから勝手に行けと……。 夜20時に待ち合わせの場所に行き時計台で片山を待つ。 「拓美!」 声のする方に振り向くと……片山の姿と義弟の勉の姿。俺の側に来て頬をパンッ…… 「……のォ……バカ!!」 「バカ?!ってなんだよ!」 両手で頬を擦りながらなんで?頭がぼぉ~としてる……。いきなり腕を引かれトイレに連れてかれた。 義弟は何気に笑ってるような……。 鏡の前に立つ。フンッと何かを渡された。電気カミソリ? 「ったく……何してんだよ……お前は!髭面嫌いなんだけど!!」 「…………ずっ……連絡く……かったじゃ……」 「……速く髭それよ!」 何気に腕を組み怒ってる片山。何が何だか分からないけど、大人しく従った。 確かに髭が伸びて…ちょい悪オヤジ見たいになっている。カッコ悪い……。 髭を反り終わると、片山はクリームを塗ってくれた。 「やっぱこっちの方が良い男になったね♪拓美」 「優馬?あのさ~」 「藤岡さんが待ってる。早く行こう!」 二人で一緒に義弟の所に行き、車に乗った。着いた所が二人の新居……。勉は 「ただいま、義兄さん連れて来たよ♪」 お帰りなさいと……元気な姿の妹? ぼぉ~としてたら片山から肘鉄を食らった。痛い( ノД`)… 部屋に通された。 ふみさんがお茶を持って来てくれた。二人は揃って前に座る。妹は 「お兄ちゃん、あのね……ん~と……。」 「義兄さん、ずっと黙ってて…すいませんでした。玲奈」 「お兄ちゃんごめんね……黙ってて…あのね、お兄ちゃん!私……赤ちゃん出来たのよ♪12月出産予定なの」 「……?」 「お兄ちゃん?」 「……あ…赤……坊?って」 「お~ィ……拓美……赤ちゃんだって♪」 ギィギィとでもなるように首が片山と二人を見る。優しい笑顔の皆 (玲奈に赤ちゃん……?赤ちゃん……?) 片山が俺の前に手を振り 「お~ィ……拓美帰って来~い!」 ハッ!俺は片山を見て 「ゆ……優馬…妹にァ…。あか…赤ちゃんが、赤ちゃんがァ…。」 動揺の余り自分が何を言ってるのかわかってない。大笑いの片山。二人共も笑ってる。 「拓美ィ……叔父さんになったんだよ♪」

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