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招待レース

俺を見送った後、片山は妹夫婦の家でお風呂を頂き、空いている部屋に通されると、ノックの音に妹さんが来た。 なんかにっこり笑顔? 「お義兄ちゃん、ちょっぴり良い?」 「えっ?……はい」 テーブルを挟んで座る。にっこりから…… ニタニタ顔? 「お兄ちゃんとの事、聞かせて欲しいなぁって!」 「えっ……と前に仕事の件とか話したよ?」 「違うってばぁ!お兄ちゃんとsexしてるか?って事に決まってんじゃん♪」 「えっ……えぇ~!」 (ボンッ)真っ赤になってダウン(キュ~!) 「えっ……ちょちょっとお義兄ちゃ~ん」 話しが中断・・・妹は旦那を呼び、勉がハァ~と頭を抱え片山をベッドに運んだ。 片山は朝の9時頃妹夫婦に駅まで送ってもらった。 妹は旦那に叱られたらしい。片山に謝った。 新幹線のホームで俺に電話をくれた。 『拓美、もう少ししたら地元に帰るね♪休みが取れたら必ず行くから……頑張って……愛してる』 『……優馬……有り難う。頑張るよ!休み待ってるから。俺も愛してるよ♪』 電話を切る。11時……。 いつもの俺のスケジュールをこなす。 あれから2ヶ月立った。 片山はリーディング1位に舞い戻った。 俺は必死の上、リーディング上位に返り咲いた。 ブラックホースも馬主さんが叔父さんの知り合いに決まり主戦ジョッキーは当然俺がなった。 無事デビュー戦から勝ち続き、テキから呼ばれた。白い紙を俺に見せる {招待レース 渡辺厩舎 場所○○競馬場 日時12月24日第12レース 馬名 ブラックホース号 騎手 沢田拓美 調整をするなら1週間前から入廐許可 } 俺はテキに何度も紙と顔を見ると 「何おかしい顔をしてるんだ?当然の結果だろう!お前の成長見せてやれ!」 「ハイッ♪」 「ただし、ブラックは調整しなきゃならないけど……お前は追切まではこっちでリーディング1位目指さなきゃならん。だから…わかるだろ?」 「……ハイッ分かってます。あのテキ……レース終わってから……その」 「あぁ~仕方ない2日休みにしてやる!だから…。結果だせ。」 俺は頷く。 調整は廐務員の鈴木さんが大丈夫だな♪ッと後は~片山に連絡して……。 テキから対同馬※も行く話しも頂いた。 北海道から2頭、廐務員が二人、調教助手は対同馬の助手一人、騎手が俺とリーディング3位の対同馬の主戦ジョッキー土屋薫♀さんのメンバーで押し掛ける。 決まってからは、リーディングに上がる為まだまだ必死になった。 その内、俺は元々先行※を得意とする騎手だったが今では自在※を得意となった 片山は俺を気遣ってか、電話・メールを寄越さない。 招待レースまであと4日。 雪の為中止となり俺は早いが新幹線に乗り継いで里帰り?taxiで競馬場に向かう。 着いたのは昼休み中 出張馬房に行くと、皆揃ってた。 叔父さんの知り合いと聞いて居た馬主さん。 始めて会った。 今まで多忙の為来なかったと、見た限りう~ん若い? 叔父さんは50代で細身で背も高いこの人はどうみても40代。 背は片山よりは少し高い。二人並ぶと不思議と絵になる? 「改めて初めまして、沢田拓美君?速水拓人って言います。」 あまりの年の割りに綺麗な顔をしている。 ボォ~としているとテキに肘鉄を食らった。 「……ッ……あっ……沢田です。」 と握手をする。ん?見た事のある指輪? 握ったままの所に叔父さんの手が伸びて遮る。 「こら拓美いつまで握ってる!」 太くドスの聞いた声いつもの叔父さんは低い声だけど。 恐さはなかった……けど……恐い……すぐ離した。 「アッハッハ、駄目だよ。晃司……悪いね拓美君。」 肩を叩かれた。あぁ~この人は知り合いやなくて叔父さんの恋人なんだ! ペアリングに気付くが叔父さんはシィ~と指を立てる。速水って叔父さんの名字・・・ 気を取り直して鈴木さんに 「ブラックの状態はどうですか?鈴木さん」 「決まってっしょ!早めに来て良い感じだ。ただ……対同馬のカワカミサクラが調教出来ないって喚いていたなぁ。」 「テキ?土屋さんまだ来てないんですか?」 「んっ、レース前日まで多忙でなぁ……向かうは中止になったけど女性騎手は人気あるから……断れなくて、サイン会やらファンサービスで大変なんだよ。」 急きょ俺は助手と廐務員・テキ4人で話して午後一に調教するとなった。 テキは電話でおそらく調教馬場の許可を取っているのだろう。 カワカミサクラはブラックホースと同レベルのクラスに入っている。 ただ……牝馬な為招待レースは牝馬限定レースに急きょ出る予定だと……。 ※対同馬 招待馬の落ち着きを持たせる為、同厩舎の馴れた馬を連れて調教の相手もしなくてはならない ※先行 中断から先頭に走らせる ※自在 逃げ=文字通り。先に一気に駆け出す 先行=↑上記記載 差し=中断から後方を走らせ、差す。 追い込み=後方から一気に駆け出す。      ・・・だったと思います。

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