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招待レース2
仕方ないなぁ…。取り合えず俺は荷物を置きに騎手寮に行くと伝えた。
テキは荷物置いたらすぐ来いって!来たばかりで古巣に挨拶出来ず、でも反抗出来ない、頷いて走る羽目に……。
騎手寮に入る手前にいつも入っていたサウナ、片山出てくるかなぁ?
同期生の一人が俺に気付き、声を掛けてくれたが、後でなぁ♪と伝え寮に入る。
取り合えず調教馬場に連れておく言う話しだから…。
準備して調教馬場に走った。
調教馬場に何故か人が多い。いつもは午後一はこんなに居ないのに?
カワカミサクラの馬主さんは凄く美人、これが目当てか?と思いきや、なんでかブラックホースまで連れて来た。
青鹿毛のデカイ馬体に回りがざわめく…。
テキに
「あのテキ?どうしてブラックを……」
「サクラの調教にはこいつが一緒の方が良いってね、ブラックは鈴木が軽く乗る。
一周半過ぎたらお前は追切を駆けろ。
ブラックは既に調整済みだから…。気にせずなっ」
頷いてサクラに飛び乗る。
ブラックはまるで焼きもちやくようにサクラに近付く。
俺はブラックの頭をなでいつものように額にチュッってすると落ち着く。
鈴木さん呆れて
「ハァ~拓美、そのクセ治した方が良いって!ブラックは極度の焼きもち焼きだぞ!抑えがきかんくなる!」
「ハッハッ、すいません。ブラックに言い聞かせます。」
ブラックの頭を数回ゆっくり撫で下ろすとのほほんって目がトロンと大丈夫だな♪
俺と鈴木さんが並んで調教馬場に入る。
合図はまだ入らない。
軽く流すブラックまでも同じ歩様、サクラはピッタリ添うとびくつき状態が悪くなる。
普段は仲の良い馬達だが場所が違う為口を割り始めた。
鈴木さんが抑えてるが全然聞かない。
今日は出来ない。テキに合図を送ると1度馬場を出た。
テキは頭を抱える。ハァ~ア
1度降りてサクラを助手に乗り変わり俺がブラックに乗った。テキは
「拓美、助手では無理だから…。どうすんだ?」
「少し待って下さい。誰か呼びます。」
非常に厳しい。
するとテキの名前を呼ぶ声・・・。
前のテキと片山の姿・・・
「ハッハッハッ水臭いなぁ……お前は優馬……」
片山は頷いて、助手と乗り変わる・・・
「優馬…指示は直人から聞けよ」
渡辺直人、今の俺のテキの名前。
耳にイヤホンをつける。
準備を終え先に馬場に入る。
軽く流すと落ち着き払うサクラ……テキに合図され俺が入る。
後は先の指示通りブラックは凄く落ち着いた。
並走している間、片山に声を掛けるが?
無視・・・(あれ?俺、何かしたかなぁ?)
一周半過ぎてから片山はゴーサインを出すとサクラは始めて一瞬身体を沈めスパートを駆けた。
タイムは最高を切った。
やっぱり片山は上手い!スピードダウンして俺の側に来た。
テキは喜びの余り馬から降りた片山を抱き締める
(・・・ムカッ……なんだろ?)
俺も馬から降りて、片山の側に行く。
「先輩有り難う♪助かりました」
握手をしょうとしたら、跳ねられた。
「……なんで?……先輩?」
片山は左手を隠すよう胸にあて、泣きそうなでも営業スマイルで
「……拓美、お疲れ」
走って戻って行った。(なんで?)缶コーヒーを同期生の一人がくれた。
唯一俺の気持ちを応援してくれてる一人……。
歩きながら聞かされた。
片山を潰そうとしてる皆の目・・・。
自分から聞いたとは内緒なってウィンクされる
(そんな事になっているなんて。)
フゥ~、馬の手入れを見て居たらテキに呼ばれ古巣に挨拶をしに歩いた。皆は喜んでくれた。
ブラックを褒めて居る・・・片山は居ない。調教馬場に何気に歩くと片山の姿……と側に女が居た。
営業スマイルを女に向ける、女は片山の腕を掴まえきゃっきゃっしている。
(ズキっズキっする俺の心臓)
これ以上見て居られない……辛い
騎手寮に戻り懐かしのサウナに行く。
顔見知りが多い。
一人になりたいからすぐ部屋に戻った。
夜に軽くマラソンをして出張馬房の変な明かり?懐中電灯?変だなぁと思い、そ~と覗く瞬間ガタッガタッ!ブラックの怒っている鳴き声・・・俺は
「誰だぁ!」
と声を掛けると・・・うずくまる姿の優馬
「……優…馬?」
頷いて座り込んでる。
ブラックは基本的に気があらい、興奮して鼻息が凄い・・・前足で叩き付けそうな勢い。
俺は慌ててブラックをドォドォと声を掛ける。
鼻筋を撫で下ろすと落ち着く……。
片山の腕を見ると血が出てる、大丈夫だからと言ってたが無理矢理上着を脱がせ腕を捲る。
傷口が分からないから側にあった救急箱を手に片山を藁の上に座らせた。
消毒液で洗い流す。
思ったより幸いな事にかすり傷レースは大丈夫だな。俺は
「何してんですか?」
片山は何も言わない
「俺の乗る馬に薬でも入れる気だった?」
「ちっ……違う!」
「・・・じゃあ何、なんだよ!」
「……ッ……拓美が居るかなと思って、さっき寮で聞いたから・・・」
俺は大きく溜め息を付きブラックの馬房に背を寄り掛かる。
腕を組みジィと見る。
「優馬…フゥ~ぃや優馬先輩、用は何?早く休まなきゃ行けないから用件は手短に……。」
「……ッ……いや明日で良いや、悪いなこんな時間に……じゃあおやすみ」
片山は出て行こうとした、俺は腕を引き寄せ唇を重ねた。
「……ッ……フッンッン……。やっ……やめっ……ッ……拓…美!」
片山は抵抗して出て行った。
何で?ショックが思ったより強い。
俺はそのまま馬の側に寝てしまった。
朝、鈴木さんに起こされた。
ブラックも一緒に起き上がる。軽く首を叩き外に出た。鈴木さんは
「どうした?ブラックと一緒に居て、風邪引くよ」
「別に……ただ何となくブラックの側に居たかったから……それにピッタリとブラックが身体を寄せてくれたから大丈夫だよ。」
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