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事故

あれから中央競馬を無事デビュー出来た。 片山とは電話ではなくラインをやり取りしている。 2戦2勝……順調に3戦、4戦目辺りから足元に不安が出た。 テキに休ませた方が良いって話したが、人間って欲の固まりだな……。 地方競馬の人が中央競馬で勝つのは、よほどの事……。人の話しを聞かない。 叔父さんに話したら、鈴木さんから聞いていたと、馬主からテキに休ませて欲しいと連絡が来た。 テキは獣医に見せた。案の定……脚に熱がある。 熱が引いてからまた中央競馬に出すと約束をした。 暫く地元のレースに集中出来る。 テキはカワカミサクラを連れて牝馬限定レースを制覇している。 足元の熱が下がり、だが違和感が俺には残っている。テキは約束通り復帰を中央競馬に持って行った。 5戦目・・・やっぱり無理だった。 最終コーナーで脚を庇う走り、俺は手綱を引くが何故か聞かない、ガクンとなり落馬した。 馬が全頭通り過ぎてから慌ててブラックに駆け寄る。 鼻筋を撫で落ち着かせた鈴木さんも駆け寄り脚を見る。 辛うじて大丈夫ただ、念の為獣医に見せる…… 馬送車が来て乗せて安心した所 俺は意識が無くなった。 事故後1週間たち、目が覚めたら病院のベッド。 手を握る久し振りの感触ではっきり気が付く。 「優……馬?」 顔を出した。片山は手を頬に挟み顔を寄せて泣いた……大泣き?同期生の一人が片山を連れて来てから帰ったらしい 片山の背を撫でる……落ち付いてから片山はテキに連絡しに行った。 フゥ~と一息着き身体を起こそうと足を立てた……ん?……右足が重い? 片山は戻って来たから 「優馬…?ちょうど良かった。何か右足が重くて起きれないんだよ?ちょっと手伝ってくれ」 「…………えっ?……まだ駄目だ動いちゃ!」 先生がやって来た。 先生に足の重さを聞く。 どうして?先生は片山の顔を見ると首を振る。 俺は 「優馬…席を外して、先生正直に話して下さい。足が凄く重いんだけど?何か痺れてるような。」 嫌な予感がする。片山は背を向けたまま ……おそらく聞いているだなって……。 「……分かりました。複雑骨折であまりにもひどかった。」 「………完治は?……また騎手は……?続ける事は?」 「……落ち着いて下さい。良いですか?騎手は無理です。完治はリハビリをすると多少足を引きづりますが普通の生活は送れます。」 片山は耳を塞いでる。 「…………分かりました。あの…先生……地元の病院に転院って出来ますか?」 「えっ?…………地元に妹とか叔父さんとか居るから戻りたい。優馬…少しで良い手伝ってくれ」 片山は頷く。先生は 「分かりました。取り合えず転院は向こうの都合もあるので、後日伝えます。」 先生が出て行った。静まりかえる病室…… 電動で背もたれを上げて足を両手で下ろす。 「……ハッハッ……ざまぁないよな。優馬……騎手引退の届けをしないと……もぉ……乗れない……ッ……。」 涙が…………片山は抱き締めた 「……ッ……クッ……ソ…乗……れな…いって!戻れな…って……」 抱き締める力が強まる……。

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