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転院

生き甲斐を失った……。1週間立って、 転院で北海道の義弟が移動した大学病院 妹達が待っていた、腕に女の子の赤ちゃんを抱いて居る。車イスを押す看護婦 片山の姿がないので妹は 「お兄ちゃん、お義兄さんは?」 「…………地元に帰した。名前は?」 「地元に帰したって……?戻って来るんでしょ?…………この子ね、遥ってつけたのよ。」 俺は首を振る。片山の指輪を見せ 「玲奈……これネックレスに通してくれないか?」 「…………。これお義兄さんの?」 「あぁ……」 「ッ……どうゆうこと?」 「……勉、病室はどこだ?」 妹は納得行かないとばかりにイライラしている。義弟は妹の肩に手をおく……。 「玲奈……お義兄さん疲れてるから……なっ」 荷物を受け取り、病室に連れて行ってくれた。 ふみさんが待っていたから荷物の片付けてくれた。 看護婦に手伝って貰いベッドに移る。 ぼぉ~と窓を見る……。 担当の先生が勉と一緒に来た……先生は 「これから、よろしく沢田さん。所で体調悪いんですか?リハビリが何もしてないらしいが?」 「…………イエ……。リハビリはしたくなかっただけ……です。」 「…フム、けどリハビリはしないと歩けないぞ」 「…………良いんです。リハビリした所で何もッ……」 「沢田さん。リハビリしなきゃ駄目だ、騎手だけが馬の仕事じゃない!」 「…………」 「……今日は取り合えず転院したばかりだからゆっくり休みなさい。」 先生と勉は出て行った。ふみさんに 「ごめん……暫く一人にして欲しい。ふみさん」 破棄のない俺を見て首を振るが……布団を被ると出て行った。 ふみさんを交え妹夫婦は先生の話しを聞く。 食欲不振、微熱……何より精神的ショックで何もしない。 おそらくリハビリを拒否している以上何も出来ない。 妹は片山に連絡するが……切れている。 ふみさんもしたが……取れない。 ふみさんは再度病室に行く。 赤ちゃんが泣き初めたから妹は1度自宅に持った。 俺はふみさんに帰って良いと伝えた。 しぶしぶ帰って行く……。 大きくため息を着く。テレビをつけるが観るのはない。消して布団に潜る…… あっと言う間に夜に看護婦が起こす。 昼も食べてない為夜は食べさせる為起こす。 「沢田さん、せめて少しでも食べなきゃ行けないわ。」 「…………良いです。食べたくないんです。」 手をつけず、横になる。 これでは身体が厳しい……。微熱通り越し熱を出した38℃点滴に薬を入れる。 夜中に誰かの手を感じた。繋がれた手に思いだし 「…………ゆう……馬?」 ピクッと一瞬止まったような感じ……気持ちの良い……スゥ~と眠りに着く。 朝、目が覚めたら誰も居ない?看護婦が来て熱を測ると下がっていた。 「あの~、夜中誰か来ませんでしたか?」 「えっ?ん~と誰も来てないと思ったわ」 そう~だよな、気のせいか……。ノックの音 叔父さんと馬主さん、テキの姿・・・妹の仕業? 「あの~すいませんでした。」 馬主さんは 「沢田さん、心配しました。」 叔父さんは 「拓美、玲奈から連絡が来たが……リハビリ拒否しているって?」 テキは 「拓美、引退届け受け取ったがお前はそれで良いのか?」 「……良いんです。この足では騎手に戻れないそうなんです。だからこのまま辞めさせて下さい」 何も話さなくなった。 叔父さんは皆を連れて出て行った。一言 「拓美、片山さんの件だが……俺は何も聞いてない。 ただお前が食べずに死のうが何をしたいのか俺は知らない。けど……彼はお前の為に倒れたよ。」 「……えっ優馬が……倒れたって?なんで?叔父さん」 叔父さんは皆と出て行ってしまった。 俺は片山に電話を入れたが……繋がらない? どうゆうこと?別れたのに?どうゆうことなんだ?何で電話に出ない? 再度馬主さんだけ……病室に来た。 「拓美君、幸司から聞いたろ?片山さんずっと拓美君の側に居たんだよ。今は点滴してる・・・嘘だと思うなら消灯時間後寝たふりしててごらん。」 「……はい……有り難うございます。」 「俺も幸司も君たちを応援してるよ。だから、よく話すんだ。」 頷くと、馬主さんは出て行った。 昼を看護婦が持って来てくれた。 看護婦は同じ事を言う所で俺は久し振りに食べた。 一気には吐き気がするから食べれない、少しでも食べ終え看護婦は笑顔で下げた。 妹が来て安心した顔をする。 「お兄ちゃん良かったぁ、やっと食べれたのね。」 「玲奈……優馬見てないか?正直に話せ。拓人さんから聞いた……」 「…………お兄ちゃん別れたんでしょ?」 「……優馬を探してくれ!俺はあいつが側に居ないと駄目なんだ。伴侶なんだ。だから頼む!きっと病院の中に居る筈なんだ。」 「お兄ちゃん。」 「あいつを失いたくない。こんな俺になったけど……」 「お兄ちゃん、ならお義兄さん見つけたら食事、リハビリしてくれる?」 「……分かった、リハビリもする。だから早く探してくれ!」 妹は笑顔で 「……だそうよ。お義兄さん!」 ふみさんが……隣のカーテンから出てきた。カーテンを一気に開けると、点滴をしてる片山の姿・・・顔を手で抑え泣いてる。 俺は身体を起こし車イスの反対側から足を両手で下ろし足を引きづり片山のベッドに倒れるように側に寄った。 ふみさんは車イスを慌てて持って来た……が俺は片山の身体を寄せてベッドに座った。 「優馬」 抱き締めると片山は背を叩く。 「……ッ……バカ……バカァ!……ヒッ…クッ……バカァ」 「優馬ァ……優馬ァごめんって……ッ……ごめん」 抱き締める・・・もぉ離れたくない! 「お兄ちゃん達良かったね♪ふみさん」 優しい笑顔の二人……俺はこんなに近くに居た事すら知らなかった。 点滴が終わるまでずっと手を握りしめたまま、唇を重ねた。 「お兄ちゃん、約束したんだからね♪」 頷くと先生を呼びに二人で行った。点滴が終わり看護婦が来てビックリしてた。 ベッドから降りようとしない俺が降りて居る事に……。 点滴を外してから片山がベッドから降りて俺を車イスに乗せてくれた。 自分のベッドまで押してくれた。

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