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再会
先生が病室に来た。リハビリの予定を組む。片山は俺が落ち着きリハビリを開始したばかりの時は側に居た。
だが向こうの方が気になる俺は片山を帰す事にした。
片山とよく話し合った。
「拓美、もぉ……離れたくない!俺がこっちに移転したい。駄目かな?」
「駄目ではないが……う~ん、テキにきちんと話した方が良い」
その為1度帰って行った。
一ヶ月立ち・・・
リハビリは若い分、順調にこなした。
片山から説得して了解取れたって連絡が来た。それから2日立ち病院にこっちのテキと向こうのテキが片山と一緒に来た。
「拓美、まだ細いな。きちんと食べれてるか?」
「はい……あの」
いきなり向こうのテキに首を閉められ
「拓美ィ~恨むぞ~、お前のせいでこいつまで移転するって……。今優馬はリーディング1位なんだぞ!それをォ……恨むぞ~」
「えぇ~!先輩どう話したら恨まれなきゃなんないの?」
アッハッハと笑う声、向こうのテキは
「優馬は拓人の所に所属する事にした。だからお前は早く復帰して厩務員でもなれや!」
「えっ……でも、俺は辞めさせて下さいって言ってたから戻れない」
テキに頭を叩かれた。
「バカ!俺が悪かったんだ。あの事故は……だから……今は休暇だ。安心して療養してくれ。お前が帰って来ないとブラックが……走れない」
「拓美、外に出ない?」
「……?大丈夫だけど?」
一応車イスを出し、乗ってから皆でエレベーターに乗り中庭に出る。
中庭なのにさすが北海道……広い。外からも中庭に行けるみたいだ。
大きな大木の下に馬主さんの姿・・・?
片山が
「拓美、呼んで……ブラックを」
「はぁ?ここ病院で呼べる分けないだろ?」
「良いから!早く……」
テキを見ると首を縦に振る。口笛を吹き名前を呼ぶ……
「ピュ~ピュ~、ブラッ~ク!」
馬の鳴き声、すると大木のずっと後ろに頭が見えた。俺に気付きまっすぐ歩いて来る。近づくたびドンドン早くなる……
俺は車イスから降り少し引きづりながらも歩く……ブラックは俺の匂いを嗅ぎ、懐かしい甘え方……鼻を胸に擦り付ける一声
「ヒッヒ~ン♪」
初めて馬の涙を見た。ピッタリくっつく
顔を抱き締め俺まで涙が流れて居た……
馬主さんが鈴木さんと大木まで馬を引っ張っるが言う事聞かない。
俺は手綱を持ち引っ張るが足がまだおぼつかない、片山が一緒に引っ張ってくれた・・・。
大木まで行くと片山が俺を座らせた。片山も側に座る
ブラックは身体を沈ませ横になる、俺の足に軽く頭を乗せた。鼻筋をゆっくり撫でてやると凄く落ち着く。
皆が側に来て、テキが話す
「馬主さんと話したんだが……片山にブラックを乗せたらとなってな、鈴木はブラックが大丈夫ならと言っている。拓美ならどうする?」
「先輩に……ですか?」
「あぁ……」
「う~ん、先輩ブラックに乗って見る?」
「拓美が良いならお前の代わりに乗りたい。」
俺は何とか立ち上がるとブラックも立ち上がる。片山を側に寄せて
「先輩、鼻筋をゆっくり撫でてやると落ち着く。それから俺は乗る前に必ずたてがみを撫でてから乗る。やって」
言われた通りにする。片山をブラックの横に寄せて足を挙げてやる……一瞬ブラックの気がたったが俺を見て大人しくなる。
「先輩、ブラックを歩かせて」
頷くと少し脇を足で叩くと動いた。
皆の側に移動して、片山とブラックの様子を見る。笑顔でOK となる……
俺より体重のない片山だから……ブラック自身も乗って居るのか段々分からなくなり好き勝手に動き出す。
下の草を食べたり……片山は一生懸命首を上げさせるが。駄目……
俺は手を貸さない。
片山は脇を足で叩くとやっと乗って居るのに気付く。
たてがみを撫でてやるとやっと動いてくれた。
馬主さんがブラックに触れ片山に……
「片山さん改めてブラックをよろしくお願いしますね。」
「あっこちらこそよろしくお願いします。」
俺はテキに
「テキ……お願いがあります。ブラックが居る間だけ厩務員で勤めさせて下さい。」
「えっ……その後はどうするんだ?」
「嫌だろうけど……叔父さんの牧場を手伝いたいんです。ブラックが引退したらその血を受け継ぐ子を作ってみたいです。」
「う~ん、考えておく」
「すいません、勝手を言って……」
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