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 更に瞳を潤ませて京平の事を見上げる。  そんな僕に京平はクスリとしていた。 「今日の僕は本当に胸も弱いんだからねっ!!」  そう僕は京平に向かって頬を膨らませながら小さな声で言うと、 「分かってるよ。 だからだよ。 だって、玲音はもっと気持ちよくなりたいんだろ?」 「そうだけどっ!! 僕だってギリギリで意識失わないように頑張ってるんだからねっ!!」  その僕の言葉に京平は首を傾げている。 「だから、意識を失わないようにギリギリの所で耐えているんだから、あんまり気持ち良くさせないでって言ってるの」 「何で?」 「それは、意識飛んじゃったらこういう行為が楽しくなくなっちゃうでしょ?」  京平には素直な僕の気持ちを伝える。  それは好きだからっていうのと京平には僕の気持ちが分かって欲しいからだ。 「だからだったんだね。 玲音の気持ちよーく分かったよ。 そだね、意識飛んじゃったら確かに楽しくなくなっちゃうしね。 私の方もそう思うよ。 だって、玲音が意識飛んじゃったら確かにこっち側としても楽しくないからね……声だって聞けなくなっちゃうし」 「うん! だから、まだ、あんまり激しくしないでよ。 特に今日の僕は女性の体なんだから」 「分かったよ……」  そのついでに僕達は唇を重ねる。  カメラマンさんがそこを撮っていたかなんて事は知らないけど撮影中に恋人同士でキス位したっていいじゃん。  でも、その後京平は僕の胸を揉んでくる。 「ちょ……きょ……京……ぁ……んん」  僕が撮影中に京平の名前を呼んでしまいそうになったのが分かったのか京平が僕の口を手で押さえてくる。 「そうじゃなくて、揉む位はいいだろ?」 「だから……」 「優しく揉むようにするから……こっちも押さえ気味でいくからさ。 それでは私が暇になってしまうだろ?」 「あ……」  ……そっか……それは確かにあるのかもしれない。  京平の言葉に納得する僕。

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