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初体験 ステップ58

 そして京平は僕の所へと戻って来ると、 「玲音……とりあえず、中綺麗にしてから、浴槽の中に入ろうか?」  そう言いながら京平は僕の背後から僕の事を抱き締めてくる。 耳側で囁くように言ってくる京平。 しかも京平は僕よりか遥かに体が大きいのだから、なんかこう僕の事を背後から抱き締める時っていうのは大人が子供を背後から抱き締めるような感じなのかもしれない。  でも僕的には抱き締められる事って心地良いんだよね。  だから僕の方も京平の腕を抱き締める。  こんな事されたら僕の心臓の鼓動が高鳴ったのが分かった。  僕はまだまだ京平の事が好きだっていう証拠。  好きだから色々な京平の仕草に胸が高鳴るんだしね。  僕は背後から抱き締められてる体勢から首だけを京平の方へと向けて、目を瞑る。 すると京平の方も僕のこの合図で何をして欲しいかっていうのを分かってくれたようで、次の瞬間には京平の唇が僕の唇に重なっていた。 そして離れると同時に僕からは甘い声が漏れる。 「壁に手付いて……」  そう甘い声で囁いてきてくれる京平。 だからなのか、それとも京平だからなのかは分からないのだけど、こう僕の方は京平の言葉に素直に従うと京平から離れて壁に両手を付けるのだ。  それと同時に京平がシャワーでお湯を出したようで、お湯が床を叩きつける水音がお風呂場内へと響き渡り始めた。 「足開いておいてね」  お風呂場の床に水が叩きつける音が響いてしまっているからなのか、京平は僕の耳側でそう言ってくるのだ。 わざとなのか、それとも、やはり水音がうるさいから僕の耳側で言ったのかは分からないのだけど、僕は京平の言う通りに足を気持ち的に開かせる。  それから京平はお湯の温度が丁度いい温度になると、ゆっくりと僕の体にそのお湯を掛けてきてくれる。 先ずは足首辺りからゆっくりと膝裏からお尻へとだ。  このお風呂場には暖房が付いているのか、体が冷えないようになっているようだ。 だから、そんなに寒くないようにも思える。  本当に社長が作ったこの建物というのは、人間の体に優しい作りになっているのかもしれない。 いや、寧ろ最新設備が整っている建物のようだ。 部屋の方は床暖房だったり、オフィス用のエアコンだからなのか十分過ぎる程、部屋が暖かったりするのだから。 だけど、このままお風呂場でやったらのぼせてしまうような気がする。 だって元からお風呂の中って熱いのに暖房なんか入ってたら余計にかな。 ま、そこは暑かったら調節してくれるのかな? だよね、ここで倒れちゃったら元もこうも無いもんね。 それに流石にお風呂で倒れるのは恥ずかしいし、そこに救急車に来て貰っても恥ずかしいし……。 あ、そこは一応、恥ずかしいと思ってるんだ……僕って……。  まだ、こうなんていうのかな? 頭の中がハッキリしている状態な僕だから色々と考える事が出来ているんだけどね。 じゃあ今のうちに成都さん達の方を見ておいた方がいいのかな?  そう思いながら僕は成都さん達の方へと視線を向けるのだ。

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