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第21話 島田真理
(葵語り)
夏休みが終わり、新学期になった。
有名な島田真理 は色んな意味で目立っていたので、すぐにわかった。
俺がこいつに全く気づいてなかったのは何でだろうか、と首を傾げるくらいクラスでは浮いた存在だった。
島田の身長は俺より少し低くて、すごく華奢で細い。栗色でふわふわの髪は長めで、全体的に色素が薄い感じだ。いつもシャツのボタンが3個ぐらい開いていた。中にTシャツも着ていないから、白い肌が丸見えで、余計に色っぽさが際立っている。
その辺の女子よりは遥かに綺麗なのは頷ける。
だけど雰囲気が回りの高校生より大人びているせいか、友達もいないようだった。
遅刻してやってきたかと思えば、授業はほぼ寝ている。談笑する姿も見たことがなかった。
熊谷先生が言わんとする『色っぽい』は分かる気がするが、こういうのが儚いのか。
何があっても生きていけるような図太さがありそうで、俺には理解ができなかった。
声を大にして伝えたいが、俺とは全く似ていない。これは熊谷先生の錯覚と偏見だから、気にしてはならない。
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