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第22話 レモンキャンディ1
(島田真理語り)
「ふぁぁぁ」
つまらない授業に大欠伸が出た。
睡眠不足で何も頭に入ってこない。
昨晩は、セフレのナオちゃん(女)と会っていた。一応僕は、男と女の子のどちらもイケる。
女の子の柔らかくていい匂いが好きだ。
だけど男の人に抱かれる方がもっと好きなので、女の子のセフレはナオちゃんだけだ。とは言っても姉妹みたいなじゃれ合いばかりで、セックスはあまり重点に置いていない。
ポケットのスマホが振動した。
寝てるふりして、机に突っ伏したまま確認する。加瀬先輩から『放課後会いたい』というメッセージが届いていた。
ちょうどよかった。
昨日女の子を抱いてきたから、男の人に抱かれたくなってたんだ。
でも学校だから、たぶん最後まではできない。
ちぇっ、つまんないのー、と口を尖らせながら『いいよ』と返信した。
放課後、加瀬先輩を校舎裏で待つ。
遠くで部活をする人達の声が聞こえる。部活で汗流すとか、僕的には絶対ありえないんだよな。汗はセックスで流すものだ。
「まーさみーち、元気してた?」
「加瀬先輩、会いたかったよ」
加瀬先輩は、背がすごく高く、サッカーをやっていただけあって体つきはがっしりしている。切れ長の目に短髪がよく似合っていた。
抱きつくと、すっと背中に手が入り僕の肌を撫でる。
「俺も。本当に久しぶりだな」
僕と加瀬先輩は、半年ほど前から体の関係で、お互いセフレの1人だ。学校でも時々こうしていちゃつくこともある。呼び出されば、他の用事がない限り応じていた。
強い力に包まれるって幸せだ。
「ほっせーな。また痩せた?」
「ふふふ。変わってないよ」
シャツに入っていた先輩の指が乳輪をなぞる。
「……あっ……」
気持ちいいから、もっと触ってじらして。
やっぱりこっちの方が女の子より満たされる。
次第に求めあうように口づける。
加瀬先輩のキスは、大好きだ。
僕の髪の毛に手を入れてくしゃくしゃにしてくれるのが気持ちいい。
壁に僕を押し付けて覗き込むようにされて、何度も何度もキスした。
僕が女の子を抱くのは、男の人の良さを確認するためなんだろうと思う。
小一時間、外で抱き合っていた。
学校だから、これで終了だ。
加瀬先輩は、次会うときセックスしようなって言ってくれたけど、受験生だし、あんまり会えないと思う。しばらくは先輩には抱いてもらえないから、寂しくて仕方がない。
先輩の後ろ姿を見送り、教室に戻ってカバンを回収して帰ろうかなと思って歩きだしたら、ガサゴソと音がした。
草むらで誰かが走り去る後ろ姿が見える。
あのう、サッカーボール忘れてますけど……
ものすごい悪趣味だ。覗かれた。
人に見られることは気にしないけど、木陰で覗かれたと考えるといい気分はしなかった。
見物料をよこせよ。
一気に萎えたので、残されたサッカーボールを思いっきり蹴ったら足がつった。
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