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第39話 犯人は誰4

(島田真理語り) 勢いよく倒れたヤツに僕は馬乗りになった。 息が苦しくて死にそうだ。普段は全く走らないため、体が軋んでいる。心臓がばくばくしてして言葉が出ない。息が整うまで暫く時間が掛かかりそうだった。 犯人は、僕の全然知らない人だった。 見たことは無いが、3年生っぽい気がする。短髪で背が高く、丸いアーモンド型の目と通った鼻筋でバランスのいい顔だ。ちょっと好みかも……なんて思ってる場合じゃなかった。 「覗きなんて、悪趣味だよね。わかってんの?この間も見てたでしょう」 往生際の悪い男は、顔を反らしたままこっちを見ない。さっき転んだ時に膝と頬を擦りむいたらしく、血が滲んでいた。制服の膝部分が派手に破れている。 「おい、あんた3年生だろ」 ピクっと動いた身体が代わりに返事をする。嘘をつけない性格なのか、バツが悪いのか、声も出さずに押し問答が続いていた。相変わらずこちらを見ない犯人に色々とカマをかけてみることにする。 「加瀬先輩の知り合い?それとも恋人?なんか言ったら?」 「…………」 「名前ぐらい教えろよ。覗き見変態野郎。おいっ、聞いてんのか」 「…………」 だんまりの無反応に段々本気でムカついてきた。どうして被害者の僕がこんなに心身ともにボロボロの状態にならなくてはいけないのか。 イラついた僕がヤツの髪を思いっきり引っ張ると、やっと呻き声が漏れた。 「うぅっ………」 「僕についてきて。逃げたりしたら加瀬先輩に言うから。写真撮って校内中に晒すよ」 観念したのか、奴は項垂れるように下を向いて、僕の話を聞いている。 どうしようかな。加瀬先輩の元に戻っても続きが出来るわけがない。それにアドレナリンが出ていて、いつにない興奮状態にあった。 この怒りを収める訳には行かないのだ。 僕はその時、いい事を思いつく。 熊谷先生にどうにかしてもらおうと閃いた。怖い怖い熊谷先生に叱ってもらって反省文くらい書いてもらおうではないか。

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